「源氏物語」が書かれる直前、「枕草子」の成立とも重なる時代に成立した「うつほ物語」は、平安時代の物語として初めて登場した長編物語です。その複雑な構造と多岐にわたる登場人物、空間描写、人物描写、物質描写の細緻かつ周到な叙述によって特徴づけられる作品と言っていいでしょう。ありえないような理想世界の構築と、限りなく愚直な叙述によって作られていく物語世界を丁寧に味わうことによって、「源氏物語」が書かれたことが単なる奇跡ではなく、「うつほ物語」の積み重ねと延長線上に可能となっていったことを改めて確認してみたい。(講師・記)※2024年4月開講。 今期は「藤原の君」巻の途中からを予定しています。 ※テキストは、各自ご購入ください。 「新版 うつほ物語 一 現代語訳付き(訳注 室城秀之)」角川ソフィア文庫
三田村 雅子:1948年生まれ。 フェリス女学院大学名誉教授 早稲田大学大学院博士課程、フェリス女学院大学教授、上智大学教授を経て、現在に至る。専攻は物語文学、日記文学、『枕草子』。 朗読文化協会理事。 著書:『枕草子 表現の論理』『源氏物語感覚の論理』(いずれも有精堂)、『源氏物語 物語空間を読む』(ちくま新書)、『源氏物語絵巻の謎を読み解く』(三谷邦明との共著・角川選書)、『源氏物語を読み解く』(秋山虔との共著・小学館)、1996年より2005年まで、河添房江・松井健児と共に雑誌『源氏研究』(翰林書房)を刊行。『天皇になれなかった皇子のものがたり』(新潮社・とんぼの本)、『記憶の中の源氏物語』(新潮社)。
<テキスト>※各自、ご購入ください。 「新版 うつほ物語 一 現代語訳付き(訳注 室城秀之)」角川ソフィア文庫
◆現在「藤原の君」巻を講読中です。 Zoomウェビナーを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(1週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問い合わせは、yk9yokohama@asahiculture.comで承ります。