須磨・明石から帰った光源氏は新たな実力者として冷泉帝の宮廷に君臨します。政治的な勢力争いを女御同士の絵巻争いのかたちで展開する絵合の巻から、明石で生まれた明石姫君を生母明石御方から離し、紫上のもとに引き取る薄雲巻、藤壺の崩御から朝顔の女君への迷いを描く朝顔巻と、物語の屈折点を読みこみます。お伽話のようだった源氏物語が社会の荒波をかぶって、次第にしたたかな物語に変質していく過程をお楽しみください。 物語の類型や歴史的背景に注意をはらって解説します。絵画資料や本文朗読も理解の助けになるでしょう。(講師・記) ※2024年10月期は「若菜」の中ほどから読みます。 ※2019年4月に開講しました。
三田村 雅子:1948年生まれ。 フェリス女学院大学名誉教授 早稲田大学大学院博士課程、フェリス女学院大学教授、上智大学教授を経て、現在に至る。専攻は物語文学、日記文学、『枕草子』。 朗読文化協会理事。 著書:『枕草子 表現の論理』『源氏物語感覚の論理』(いずれも有精堂)、『源氏物語 物語空間を読む』(ちくま新書)、『源氏物語絵巻の謎を読み解く』(三谷邦明との共著・角川選書)、『源氏物語を読み解く』(秋山虔との共著・小学館)、1996年より2005年まで、河添房江・松井健児と共に雑誌『源氏研究』(翰林書房)を刊行。『天皇になれなかった皇子のものがたり』(新潮社・とんぼの本)、『記憶の中の源氏物語』(新潮社)。
〈テキスト〉各自、ご用意ください。小学館『新編 日本古典文学全集 源氏物語(4)』 ※上記が現在入手困難のため、『新潮日本古典集成〈新装版〉 源氏物語』をお勧めしております。
・教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。