ヘロドトスは、古代ギリシアの歴史家です。紀元前5世紀初頭に始まったギリシアとアジアの大国ペルシアとの戦い(いわゆるペルシア戦争)について彼が記述してくれたおかげで、私たちはこの2500年前の戦争について詳しく知ることができるのです。 ヘロドトスは小アジア(現トルコの北西部)の南に位置するハリカルナッソス(現在のボドゥルム)に生まれましたが、政変を逃れて亡命し、ペルシア、エジプトなどを旅してその見聞を記述しました。彼が訪れた地は、ギリシア本土や南イタリアを除き、小アジア・メソポタミア・ペルシア、シリア、フェニキア、エジプト、リビア、スキタイなど広域に及びました。彼は、訪れた地で聞いた話を主観を交えずに記録しようとする姿勢を大事にしました。その記述の多くは、夫々の地に関する最古の文字史料として貴重です。 彼の『歴史』をその時代背景を考えながら、ご一緒に読みましょう。 (講師・記) *2020年7月開講。2023年4月期から巻4を読み進めています。
桜井 万里子:東京大学名誉教授 1943年東京都生まれ。1971年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了、博士(文学)。東京大学名誉教授。おもな著書に『古代ギリシアの女たち』中公文庫(2010年 初版は中公新書1992年)、『古代ギリシア社会史研究』岩波書店(1996年)、『ソクラテスの隣人たち アテナイにおける市民と非市民』山川出版社(1997年)、『ヘロドトスとトゥキュディデス―歴史学の始まり』(山川出版社(2006年)、『いまに生きる古代ギリシア』日本放送出版協会(2007年)、共著『ギリシアとローマ』中公文庫(2010年 初版は中央公論社1997年)、『西洋世界の歴史』山川出版社(1999年9月)。編著『古代オリンピック』(橋場弦と共編)岩波新書(2004年)、『各国史 ギリシア史』山川出版社 (2005年) 『古代地中海世界のダイナミズム 空間・ネットワーク・文化の交流』(師尾晶子と共編)山川出版社(2010年)、『友愛と秘密のヨーロッパ社会文化史 古代秘儀宗教からフリーメイソン団まで』(深沢克己と共編)東大出版会(2010年)ほか。
<テキスト>※各自でご用意ください。 『ヘロドトス 歴史 (中)』 松平千秋翻訳(岩波文庫)
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