古代エジプト3000年の王朝を通じて王の墓の形状は、四角錐のピラミッド、テラス状のサフ墓、岩窟墳墓と多様でした。しかしその中で、最も造られた形状はピラミッドでした。約4600年に建造された最古の階段ピラミッドから、最大規模となるギザの三大ピラミッドへと進化し、財政破綻と官僚制度の発展によってピラミッドは縮小します。国の動乱を経て、再びピラミッドは造営されますが、今度は日干しレンガで造られ、かつての壮大さは失われます。この講演では、北はカイロ北部から南は現在のスーダン北部まで、約1500キロ以上にひろがる広域に散在する300基以上のピラミッドの歴史を包括的に語ります。
河江 肖剰:名古屋大学デジタル人文社会科学研究推進センター教授 エジプト考古学者。1992年から2008年までカイロ在住。エジプトのカイロ・アメリカン大学エジプト学科卒業。2012年、名古屋大学で歴史学の博士号を取得。現在、名古屋大学高等研究院准教授。米国古代エジプト調査協会(Ancient Egypt Research Associates, Inc.)調査メンバー。ピラミッド研究の第一人者マーク・レーナー博士のチームに加わり、ギザでの発掘調査に10年以上にわたって従事。現在、人文科学と自然科学の融合を目指した新しいアプローチによって、メンフィス地区のピラミッドの研究調査を推進中。2015年には、日経ナショナルジオグラフィックにより「日本のエクスプローラー」に選出。『世界ふしぎ発見(TBS)』や『世界一受けたい授業(日テレ)』、NHK総合/BSなどに出演し、エジプト文明について広めている。著書に『ピラミッド・タウンを発掘する』(新潮社)。
※途中休憩あります。