これまで日本の学問領域では分けて捉えられがちであった絵画芸術・伝統芸能・民俗芸能を、広く日本文化の関連においてとらえなおす、という視点から書かれた『伝統芸能と民俗芸能のイコノグラフィー〈図像学〉』(錦正社)の出版記念講座です。 キリスト教美術を中心に西洋美術では、図像がシンボルとして多様な意味を担って画が描かれました。ところが実に興味深いことに、かつての日本美術―江戸時代の絵画にも、「描かれた画の奥に見えるはずの世界」が存在していたのです。しかしそれは、時の経過とともにいつしか忘れさられ、現代では同じ日本人であっても、画に込められた"謎"を容易には読み解くことができません。 画に込められた絵師の巧みな機知、江戸時代の教養ある人たちが楽しんだ豊かな表象世界、目に映る画の奥に幾重にも織り重なるイメージの広がりとはいったいどのような内容であったのか。 近世期の名品の数々、「舞踊図」「柳橋水車図屏風」「誰が袖図屏風」ほかを題材に、日本美術が培ってきた深い画の陰翳世界をいっしょに見てまいりましょう。 この講座をきっかけに、日本美術の楽しみ方がきっと変わるはずです。(講師・記)
児玉 絵里子:京都芸術大学専任講師。博士(文学、早稲田大学)。 早稲田大学大学院文学研究科芸術学(美術史)修士課程修了。早稲田大学および同大学大学院で村重寧教授(現 名誉教授 )に師事。琳派研究(尾形光琳・俵屋宗達)に取り組む。財団法人海洋博覧会記念公園管理財団(一般財団法人沖縄美ら島財団)学芸員、ドナルド・キーン・センター柏崎学芸員などを経て、現職。(※2024年6月現在) [主要著書等]『初期歌舞伎・琉球宮廷舞踊の系譜考―三葉葵紋、枝垂れ桜、藤の花―』錦正社、2022年。『琉球紅型』ADP、2012年。『図説 琉球の染めと織り』河出書房新社ふくろうの本、2005年。第10回木村重信民族藝術学会賞受賞。
参考文献 『伝統芸能と民俗芸能のイコノグラフィー〈図像学〉』(錦正社)(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784764601543)
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