「タルムード」はユダヤ教の聖典の名前ですが、この言葉は、「学習の営みそのもの」も意味します。正確には「タルムード・トーラー」(トーラーの学び)と言います。タルムードは「律法の学び」という意味の言葉でもあるのです。 律法の学習はユダヤ人の生存にとって必須の学問であるため、ユダヤ社会には今日まで、タルムードの賢者の途切れない歴史があります。その賢者と学びの内容とを紹介することが、そのままユダヤ教の歴史を学ぶことにつながります。 10月からの6回で、最も重要なテキスト『バビロニア・タルムード』の誕生の歴史をたどっていきたいと思います。(講師・記)2024年4月開講。 【10〜3月各回予定】 7.バビロニアへのミシュナ注釈の移植:ラヴとシュムエル 8.学問の継承と賢者の2タイプ:アバイェとラヴァ 9.総合の学としてのタルムード:ラヴ・アシ 10.イスラム時代の新生ユダヤ教:イスラム法学とユダヤ法学 11. バビロニアの賢者、ギリシア学に直面す:サアディアの挑戦 12.タルムード学の地中海進出:4人のバビロニア賢者
市川 裕:いちかわ・ひろし 東京大学名誉教授 2019年3月まで東京大学教授(大学院人文社会系研究科・文学部)。名誉教授。専攻は聖書とユダヤ教。大学で法学を学んだ後、宗教学の大学院で旧約聖書を学ぶ。イエス時代以後のユダヤ教に強く惹かれ、エルサレムのヘブライ大学に留学、律法研究に取り組む。生きた宗教の現場を経験するため、現地のシナゴーク(ユダヤ教会堂)で1年間、毎朝の礼拝に出席し、一般庶民の生活の中に深く根ざした宗教の営みに感銘を受ける。帰国後に東洋の宗教を学び直し、思索を深めた結果を、主著の『ユダヤ教の精神構造』(東京大学出版会、増補改訂版2020)にまとめた。他に『ユダヤ人とユダヤ教』岩波新書2019、『ユダヤ教の歴史』山川出版社2009、『ユダヤ的叡智の系譜: タルムード文化論序説』東京大学出版会2022など。
日程変則的です。ご確認ください(1月は第3週目)
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