激動の時代に34年の生を駆け抜けたユダヤ系フランス人女性思想家シモーヌ・ヴェイユ(1909-43)。「20世紀の哲学思想家で、シモーヌ・ヴェイユほどプラトンから影響を受けたものはいない。キリスト教的プラトニズムのほぼすべての基本的な問いは、彼女の著作において論じられており、その著作は、20世紀における、プラトン的・キリスト教的神秘主義に基づく思索の唯一の例である」と哲学者ミクロス・ヴェトーは述べています。 本講座では、ヴェイユがギリシャ悲劇、プラトンの著作、ピタゴラス派の断片に拠りつつ紡ぎあげた最晩年の思索の書『前キリスト的直観』を読解することで、十字架上のキリストに表象される不幸にも、純粋な歓びである美的感情が不可欠であるとするシモーヌ・ヴェイユ美学を解き明かしたいと思います。(講師記)全12回予定 【カリキュラム】 〈2024年10月〜2025年3月〉 1.イントロダクション 2.神による人間の探索――『ホメーロス讃歌』註解、「ノルウェー公」註解 3.神と人間が承認し合うこと――『エレクトラ』註解、『アンチゴネー』註解 4.恩寵の働き――『アガメムノン』註解 5.創造における神の愛――プラトニズムからキリスト教へ 6.『ティマイオス』註解 〈2025年4月〜9月〉*受付開始は2月下旬予定 7.『饗宴』註解 8.『国家』註解 9.『縛られたプロメテウス』註解 10.ピタゴラス派の学説について(1)――友情 11. ピタゴラス派の学説について(2)――美と不幸 12. ピタゴラス派の学説について(3)――科学と芸術 [テキスト] シモーヌ・ヴェイユ、今村純子訳『前キリスト教的直観』法政大学出版局、2011年 [参考書] ミクロス・ヴェトー、今村純子訳『シモーヌ・ヴェイユの哲学』慶應義塾大学出版会、2006年 シモーヌ・ヴェイユ、今村純子編訳『シモーヌ・ヴェイユ アンソロジー』河出文庫、2018年 シモーヌ・ヴェイユ、今村純子訳『神を待ちのぞむ』河出書房新社、2020 年
今村 純子:立教大学特任教授。美学・表象文化論。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。哲学DEA(ポワティエ大学)、学術博士(一橋大学)。著書に、『シモーヌ・ヴェイユの詩学』(慶應義塾大学出版会、2010 年)、『映画の詩学』(世界思想社、2021年)、責任編集に、『現代詩手帖特集版 シモーヌ・ヴェイユ』(思潮社、2011 年)がある。
シモーヌ・ヴェイユ『前キリスト教的直観』今村純子訳(法政大学出版局) ※ご購入の場合は、各自書店やインターネットでお願いいたします。
☆1月は第3週目。 Zoomウェビナーを使用した、オンライン講座です。お問い合わせはyk9yokohama@asahiculture.comで承ります。 ●オンライン特化です。ハイブリッド形式ではありません。