仮名の美しさは、平安時代でも中期から後期にかけて少しずつ変化しています。今回の古筆を味わうシリーズは、そうした11世紀から12世紀のごく初めの古筆を取り上げます。第一回は、「貫之集切」です。最近では比較的古い古筆とも見られます。「寛平御時后宮歌合」は十巻本歌合の仲間です、「巻子本古今集」は平安末期の流行仮名書風でもあり、類筆があります。前回に続く魅力的な仮名の美しさが詰まった平安時代中期から後期の仮名を鑑賞したいと思います。(講師記) 10/12、貫之集切(つらゆきしゅうぎれ) 11/9、 寛平御時后宮歌合(かんぺいのおんとききさいのみやのうたわせ) 12/14、巻子本古今集(かんすぼんこきんしゅう)
名児耶 明:なごや・あきら 古筆・書文化研究者 1949年北海道生まれ。東京教育大学教育学部芸術学科書専攻卒業。専門は書文化・古筆学、日本書道史、博物館学実習。元五島美術館・副館長。筆の里工房副館長。著書・編著に 『別冊太陽 日本の書』(平凡社)、『書の見方 日本の美と心を読む』(角川学芸出版)、『決定版日本書道史』(芸術新聞社)、『日本書道史年表』(二玄社)、『書に心よせる』(新潮社)など多数。