バッハ《平均律クラヴィーア曲集》は、趣味的であまりにも詳細な分析が多く、あるいは演奏法、解釈の広範囲の可能性から、実用的な理解を得ることが難しいことがしばしばです。この講座では、バロック様式や対位法の基本的知識や、多様な前奏曲やフーガ形式の理解をふまえて、今日的なアプローチの可能性を、愛好家や、ピアノ指導者、学習者向きに平易に説明します。 小鍛冶邦隆著、『バッハ「平均律」解読(I) 《平均律クラヴィーア曲集 第1巻》全24曲』(アルテスパブリッシング)に、全曲分析楽譜が掲載されています。(講師・記) 〈スケジュール〉 ※番号はシリーズ通し番号です。 第19,20回 前奏曲とフーガ イ長調、イ短調 イ長調の当世風で流麗なギャラント・スタイルの影響と、イ短調のバロック的な荒々しい音楽の対比 第21,22回 前奏曲とフーガ 変ロ長調、変ロ短調 前奏曲は、典型的な器楽書法と、教会音楽書法の対比。同様に間奏の複雑な順列作曲法(変ロ長調フーガ)と5声(変ロ短調フーガ)の教会合唱様式の対比。 第23,24回 前奏曲とフーガ ロ長調、ロ短調 前奏曲はそれぞれトリオ書法であるが、世俗、教会風の対比、またフーガも、それぞれ伝統的で模範的作風と、バロック的な異形の半音階的フーガという、極端な対比で第1巻を閉じている。 使用テキスト(推奨楽譜):[小鍛冶邦隆『バッハ「平均律」解読(I) 《平均律クラヴィーア曲集 第1巻》全24曲』(アルテスパブリッシング)](https://artespublishing.com/shop/books/86559-287-0/) ※新宿教室教材コーナーで特別価格で販売中。
小鍛冶 邦隆:東京藝術大学作曲科在学中より指揮者・山田一雄のアシスタントをつとめ、同大学院をへて、パリ国立高等音楽院作曲科でO.メシアン、ピアノ伴奏科でH.ピュイグ=ロジェほかに、またウィーン国立音楽大学指揮科でO.スウィトナーに学ぶ。自作を含むプログラムで東京都交響楽団を指揮。以後、新日フィル、日フィル、東響、東フィル等を指揮。2003年度東京現代音楽アンサンブルCOmeT公演「室内オーケストラの領域III」にたいして、第3回佐治敬三賞受賞。クセナキス作曲コンクール(パリ)第1位、入野賞、文化庁舞台芸術創作奨励賞、国際現代音楽協会(ISCM)「世界音楽の日々」ほかに入選。著書に『作曲の思想──音楽・知のメモリア』(アルテスパブリッシング)、『作曲の技法──バッハからウェーベルンまで』(音楽之友社)、『バッハ様式によるコラール技法』(共著、音楽之友社)、『楽典──音楽の基礎から和声へ』(共著、アルテスパブリッシング)、訳書に『ケルビーニ 対位法とフーガ講座』(アルテスパブリッシング)、監修書にベルリオーズ/R.シュトラウス『管弦楽法』(音楽之友社)、ジャン・ボワヴァン『オリヴィエ・メシアンの教室』(アルテスパブリッシング)、CDに『ドゥブル−レゾナンス』、『マドリガル或いは愛の寓意I-VI』(以上、ALM RECORDS)ほかがある。東京藝術大学音楽学部作曲科教授、慶應義塾大学大学院文学部、東京大学教養学部非常勤講師等を務める。現在 東京藝術大学名誉教授。
使用テキスト(推奨楽譜):小鍛冶邦隆『バッハ「平均律」解読(I) 《平均律クラヴィーア曲集 第1巻》全24曲』(アルテスパブリッシング)
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