『源氏物語』は光源氏の人生を最大の柱として、その周囲の人々の大小の人生をも撚り合わせるようにして構成された物語です。その一つ一つの人生のドラマに作者の温かい眼が注がれています。この講座では、光源氏の父、兄弟、子、朋友、家臣などのさまざまな人生模様を追うことで、この物語の魅力をさぐっていきます。毎回、一人もしくは数人を取り上げて、一回毎に完結する講座です。同時に、前後の月と関連するように工夫して、自然に『源氏物語』全体の流れが見渡せるようにしたいと考えています。 資料は講師の方で準備しますので、教室もしくは画面の前に直接お越し下さい。『源氏物語』について、さまざまな人間ドラマとして楽しんでみましょう。 今期は光源氏や頭中将の子供たちを取り上げます。(講師・記) ※2024年1月開講・1年3か月(15回)の予定 【10月期のカリキュラム】 10月8日(火) 冷泉帝 ―父への思い― 冷泉帝の実父が光源氏であることはこの物語の大きな柱です。母の藤壺の死後、真実を知った帝は父が臣下であることに深く悩み、公には出来ない父への思いを終生持ち続けます。 11月12日 柏木 ―恋に殉じた人― この物語の男性陣の中で、人気が高いのが柏木です。女三宮との恋に殉じるように早逝したことも人々の同情を誘うのでしょう。第一部の人間像との違いなども含めて考えてみます。 12月10日 夕霧 ―不器用な生き方― 柏木に比べて意外に人気が高くないのが、光源氏の嗣子の夕霧です。出自・能力・容貌も優れていながら、枠をはみ出さない、意外に不器用な人物であることも影響しているでしょう。 【2025.1月期のカリキュラム(予定)】 次の学期は以下の人物を取り上げます。 1月 匂宮 ―情熱の人― 2月 薫 ―思索の人― 3月 光源氏 ―物語を生きた人―
田坂 憲二:元慶応義塾大学文学部教授 1952年福岡県生まれ。九州大学大学院修了。福岡女子大学教授、群馬県立女子大学教授、慶應義塾大学教授を歴任。専攻は『源氏物語』を中心とする平安時代文学。著書に『源氏物語の政治と人間』(慶應義塾大学出版会)、『源氏物語の人物と構想』(和泉書院)、『源氏物語の方法を考えるー史実の回路』(武蔵野書院、共編著)、『名書旧蹟』(日本古書通信社)などがある。
筆記用具
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