850年の長きにわたり中央ヨーロッパに存在した「神聖ローマ帝国」は、その大仰な国号にもかかわらず、征服事業や栄耀栄華を極めた歴史をほとんど持たず、「神聖でもなければローマ的でもなく、帝国ですらない」と酷評されてきました。しかし最近の研究から、後半400年間の神聖ローマ帝国はハプスブルク家を君主に戴く一種の「国家連合」として、地道にその地を列強の侵略から守り抜き、独特の仕組みでのちのドイツ人やオーストリア人の価値観や感性に計り知れない影響を与えたとされています。彼らの勤勉さや慎ましやかさや冷静さ、議論好きや法律の遵守意識、教育への熱意は、その中から生まれてきた性格でした。「双頭の鷲」の宝石飾りを戴く精巧な時計にも似たこの政治作品のネジを一つ一つ慎重に外し、皆さんと共にその驚きの構造を覗きたいと思います。(講師・記) 【今期テーマ】 2024年10月期 第1回:神聖ローマ帝国の崩壊とバイエルン王国の誕生(2)−マクシミリアン4世ヨーゼフ改め「国王」マクシミリアン1世 第2回:近代立憲王国バイエルンの発展−ルートヴィヒ1世(1) 第3回:近代立憲王国バイエルンの発展−ルートヴィヒ1世(2) ★進度によりテーマ日程が変更致します、ご了承ください。★ ※開講終了時間を延長することがございます。予めご了承ください。 2025年1月期 第1回:革命と統一運動の中のバイエルン−マクシミリアン2世(1) 第2回:革命と統一運動の中のバイエルン−マクシミリアン2世(2) 第3回:「メルヘン王」のしたたかな外交−ルートヴィヒ2世(1) 2025年4月期 第1回:居場所を探す青年王−ルートヴィヒ2世(2) 第2回:幻影の中の「バイエルン王国」−ルートヴィヒ2世(3) 第3回:バイエルン王国の終焉とその後のヴィッテルスバッハ家−オットーとルートヴィヒ3世 (「ヴィッテルスバッハ家の歴史」終了) 終了したテーマ 2024年7月期 第1回:モーツァルトの時代―マクシミリアン3世ヨーゼフとカール・テオドール(1)(前期からの継続) 第2回:モーツァルトの時代−マクシミリアン3世ヨーゼフとカール・テオドール(2) 第3回:神聖ローマ帝国の崩壊とバイエルン王国の誕生(1)−マクシミリアン4世ヨーゼフ
皆川 卓:(みながわ・たく)法政大学教授 1967年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科単位取得退学。専門は西洋史。2012年から山梨大学大学院教育学研究科准教授、16年から同大学教育学部教授。2024年4月より法政大学教授。
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