「元素/原子核」をキーワードに、天文学・宇宙物理学・原子核物理学・地球惑星科学など異なる分野の研究者に、最新の宇宙像について解説してもらいます。彼らには今、どんな世界が見えているのでしょうか? 講座を通して、「宇宙核物理」の地平を刮目してください。 ※写真は、底部から魚眼レンズで撮影したカミオカンデ検出器©東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設 【各回の内容・講師記】 @10月26日 地下1000mから宇宙を見る 〜スーパーカミオカンデ超新星爆発研究の最前線 /小汐由介・岡山大学准教授 重い星の一生の最後に起こす超新星爆発は、宇宙で起こる最も劇的な現象の一つである。その際に放出されるエネルギーの99%以上を担うニュートリノの観測は、超新星爆発現象の解明には極めて重要である。しかしニュートリノはその検出が極めて難しく、これまでに超新星爆発起源のニュートリノが観測されたのは1987年に大マゼラン星雲で起こった1度しかない。本講座では、世界最高精度を誇るニュートリノ観測装置スーパーカミオカンデにおける最新の研究成果と今後の展望について語ります。 A11月23日 うちゅう、多様性。元素の起源と高エネルギー天体 /西村信哉・東京大学原子核科学研究センター特任研究員 我々の身の回りは様々な物質で溢れていますが、すれらはすべて「元素」でできています。地球上のすべての元素は、宇宙に起源を遡ることができます。元素の生成は、星の進化やその最期に関係しますが、星にも個性がありその運命も多様です。本講演では、天体の爆発現象を中心に、切っても切り離せない関係にある元素合成について、基礎から最先端まで、なるべく予備知識なしで理解できるように解説します。天体における元素合成に魅力的な世界をご紹介できたらと思います。 B12月21日 同位体で紐解く太陽系の起源と進化/寺田健太郎・大阪大学大学院教授 同位体とは、原子番号が同じで中性子数が異なる核種のことです。隕石中の鉱物の同位体を調べることで、太陽系の誕生前に存在した恒星の情報や、太陽系誕生後の物質の起源、隕石母天体で起こった出来事の”時刻”などの情報を得ることができます。講演では、これらの原理を紹介するとともに、最新の太陽系像について解説します。 C 1月25日 元素とエネルギーの源の解明から探る地球・太陽系と人類の未来 /久保野茂・東京大学名誉教授 私たちを取り巻く地球、太陽、宇宙のエネルギーの源は、元をただせば主に重力と原子核反応によるものである。原子核反応は、宇宙の進化を駆動する重要な要因であり、同時に新しい元素を生成し、莫大なエネルギーも生成する。石油や石炭などの化石エネルギーや核分裂エネルギーに頼らず、自然エネルギーへの転換が今日叫ばれているが、これらのエネルギーはとりもなおさず元をただせば、原子核のエネルギーである。宇宙の進化と元素の起源を研究する宇宙核物理学の研究の現場から、エネルギー生成のメカニズムと新しいエネルギー源の開拓の可能性をお話しする。 ◆こちらは「元素の起源と進化する宇宙2024」シリーズ全4回通してお申し込みされる方のページです。 ◆各回ごとのお申し込みも可能です。それぞれのページをご覧ください。 [@「地下1000mから宇宙を見る 〜スーパーカミオカンデ超新星爆発研究の最前線」小汐由介講師はこちら](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7401425) [A11/23「うちゅう、多様性。元素の起源と高エネルギー天体」西村信哉講師はこちら](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7401426) [B12/21「同位体で紐解く太陽系の起源と進化」寺田健太郎講師はこちら](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7401427) [C1/25「元素とエネルギーの源の解明から探る地球・太陽系と人類の未来」久保野茂講師はこちら](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7401428)
小汐 由介:岡山大学 学術研究院 自然科学学域 准教授 香川県高松市出身。京都大学卒業後、東京大学で博士号(理学)を取得。東京大学宇宙線研究所助教、ミラノ大学研究員(兼任)などを経て2013年より現職。
西村 信哉:東京大学⼤学院理学系研究科附属原子核科学研究センター特任研究員 1980年生まれ。2004年、九州大学理学部卒。2009年、九州大学大学院理学府基礎粒子系科学専攻修了。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員、国立天文台、バーゼル大学(スイス)、キール大学(英国)、京都大学基礎物理学研究所、理化学研究所研究員を経て、現職。国立天文台客員研究員。専門は、天体核物理の理論的な研究で、宇宙における元素の起源と進化史。主な対象は、星の進化から超新星爆発、中性子星やブラックホールが関わる天体現象。
寺田 健太郎:大阪大学大学院理学研究科・教授 大阪大学大学院理学研究科教授。専門は宇宙地球化学。隕石や小惑星探査機はやぶさ試料の同位体分析を行う。太陽系の年表を書き直すのが夢。平成23年度文部科学大臣表彰「科学技術賞 研究部門」受賞。著書に「絵でわかる宇宙地球科学」(講談社)。
久保野 茂:東京大学名誉教授、理化学研究所客員主管研究員 専門は、原子核物理及び宇宙核物理の実験的研究。宇宙核物理では、ビッグバン元素合成や、新星、超新星などに関わる核反応の研究から、宇宙の進化を探る研究を推進。
Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。見逃し配信(1週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはasaculonline001@asahiculture.comで承ります。