「ものは何からできているのだろう?」この素朴な疑問に対する現代物理学の答えが【量子場】です。このアイディアに到達したおかげで、我々人類は、素粒子の性質や物質のミクロな特性、更には、宇宙が生まれた直後に起きた出来事にまで理解が及ぶようになりました。 「じっくり学ぶ」のシリーズでは、この魅力的な理論を理解するために、必要となる物理や数学を、板書を使ってゆっくりと、順を追って積み上げてきました。ここまでの講義を通じて、場の量子論を展開するために必要な「量子場」と、その原理的な取り扱い方についての説明を終え、最終章に向けた準備に一区切りがついたところです。 次の段階では、いよいよ、これまで整えてきた道具である「量子場」を、現実的な素粒子の挙動を理解するために使っていきます。現段階での到達点である「素粒子標準模型」を目標に据えて、一歩ずつ説明していきます。 (講師・記) 〈今期のテーマ〉番号はシリーズ通し番号です。 第4回 「量子電磁力学のファインマン図と有効作用」 10月 ※[10月のみのお申込みはこちら→](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7489555) 第5回 「頂点関数と有効作用」 12月 ※質問や議論を交え、受講者の理解度に合わせて進むペースを調整しますので、予定していた内容まで進まないこともあります。予めご了承下さい。 〈ご参考〉シリーズ全体のロードマップです。現時点の状況確認にご活用ください。 1. 量子電磁気学とU(1)ゲージ対称性 2. Faddeev-Popovの方法によるゲージ固定 3. ファインマン・ダイアグラムの導入とその意味 4. ファインマン・ダイアグラムの対称因子 (←2024年9月現在ここまで終了) 5. 場の量子論における有効作用と物理量 6. QEDのファインマン・ダイアグラムと現実の物理量 7. 非可換ゲージ理論と量子色力学 8. 電弱統一理論とヒッグス機構によるゲージ対称性の破れ 9. 素粒子標準模型 ■教室のみの開催です。オンライン配信はございませんが、終了後「朝カルアーカイブ」にてオンデマンド配信を順次行っております。前回までの講座の続きになります。はじめて受講される方は、事前にこれまで(特にシーズン2以降の)アーカイブ受講をしてご受講いただくことをお勧めします。
松浦 壮:まつうら・そう 慶応義塾大学教授 1974年生まれ。京都大学で理学の博士号を取得後、素粒子物理学者として日本、デンマーク、ポーランドの研究機関を渡り歩く。2009年から慶應義塾大学商学部。専任講師、准教授を経て現職。研究の傍ら人文科学専攻の学生に物理学を講義。合気道四段。主な著書に『宇宙を動かす力は何か―日常から観る物理の話―』(新潮社)、『時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体』(ブルーバックス)、『量子とはなんだろう 宇宙を支配する究極のしくみ』(ブルーバックス)など。
計算式など板書をしながら講義を進めます。ノート、鉛筆など筆記用具をお持ちください。