大安寺は、奈良時代前半期、平城京で最も格の高い国家寺院であった。壮大な伽藍を誇ったが、今は往時の堂塔を失い、寺域を1/25に狭めたためか、その重要性は知られていない。大安寺は舒明天皇創建の百済大寺に始まり、天武天皇が百済大寺を移した高市大寺(大官大寺)、さらに文武天皇建立の大官大寺の法灯を継いだ国家筆頭の官寺であった。国内外からの僧が学び、海外からの僧侶・文化人も多数逗留した。かつての本尊は、天智天皇造像の釈迦如来像で、それは薬師寺本尊の薬師三尊像に優る素晴らしい仏像であったという。南方に残る東西両塔の基壇や巨大な礎石が往時を忍ばせる。発掘成果などによりつつ、大安寺の実像に迫る(講師記)。
木下 正史:きのした・まさし 東京学芸大学名誉教授 1941年東京都生まれ。東京教育大学卒業。同大学院修士課程修了。日本考古学専攻。奈良国立文化財研究所、東京学芸大学教授を経て、現在、同大学名誉教授。主な著書に『古代日本を発掘する―飛鳥藤原の都―』『飛鳥・藤原の都を掘る』『藤原京』など。
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