★教室受講の方のみ14:30頃から20分程度の参考動画を視聴予定です。オンライン受講・見逃し配信ではご覧いただけませんのでご了承ください。 皇帝一族は対ゲルマン戦線の陣営で殺害され、軍隊はマクシミヌスという叩き上げの兵士を皇帝に擁立しました。この人物は氏素性も明らかでなく、3年間という短い治世とはいえ、一度もローマ市に赴かなかった特異な存在でした。 彼が即位した235年から、この混乱を鎮めたディオクレティアヌスが即位する284年までの50年間を「軍人皇帝時代」と呼びます。近年では、軍人上がりではない皇帝も存在するなど、誤解を招く名称ということで「3世紀の危機」と呼ぶことが一般的です。帝国は、いつ滅亡しても不思議でない状況に陥ります。 東方ではササン朝ペルシア、ドナウ下流域ではゴート族、そしてライン上流域でもゲルマン人が侵入を繰り返します。これを迎え撃つ帝権も安定しません。マクシミヌスが殺害され、代わって即位した皇帝たちも多くが短命に終わります。何とか延命を図る帝国でしたが、ウァレリアヌス帝がササン朝との戦争で捕虜となると、各地に独立政権が誕生し僭称皇帝が出現する大混乱に陥ります。存亡の危機に立たされた軍人皇帝時代の前半を取り上げます。(講師・記) 第1回 10月23日 軍隊と元老院のせめぎ合い 皇帝像の揺らぎ 第2回 11月27日 帝位簒奪の繰り返し 英雄デキウス帝の最期 第3回 12月25日 ウァレリアヌス帝の虜囚 瓦解する帝国 【画像】バッカス神殿(バールベック・レバノン)
倉橋 良伸:電気通信大学講師 1962年生まれ。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程単位取得。専攻は、後期ローマ・初期ビザンツ帝国史。著書に『地中海世界史T 古代地中海世界の統一と変容』、『歴史学の現在5 再生する終末思想』(以上共著・青木書店)、『古代地中海世界 古代ギリシア・ローマ史論集』(共著・清水弘文堂)、『彷徨−西洋中世世界』(共著・南窓社)、『躍動する古代ローマ世界』(編著・理想社)など。
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