フランスの女性彫刻家カミーユ・クローデル(1864-1943)は、彫刻家・詩人・外交官のポール・クローデル(1868-1955)の姉ですが、彫刻に非凡な才を発揮しながらも、晩年の30年間は精神療養施設の生活を余儀なくされました。連作《ワルツ》や大作《分別盛り(成熟時代)》や《波》、さらには愛らしい小彫刻で知られ、巨匠オーギュスト・ロダン(1840-1917)の影響から脱して、世紀末の雰囲気の中で、私的・物語的・内省的な独自の世界を展開しました。 しかし彼女はロダンの「女弟子」とか「愛人」とか称され、正当な評価を求めても、女性差別や社会との葛藤に悩まされ続けました。死後、復権や再評価がなされ、今日でもその「悲劇的でドラマティックな」生涯は、作品展示のみならず、小説、舞台、映画などでも取り上げられています。女性が生き辛かった社会を生きたカミーユ・クローデルの「光と影」の実相に基づいて、その作品の天才的な輝きと独創性を見てゆきます。(講師記) カリキュラム 第1回 カミーユ・クローデルの生涯:女性彫刻家の波乱の人生 第2回 カミーユ・クローデルの作品世界:作品詳説、影響関係と独自性、そして美術史的定位
橋 幸次:東京大学大学院人文科学研究科修士課程(西洋美術史)を修了(文学修士)。東京国立近代美術館主任研究員、日本大学芸術学部教授、国際ファッション専門職大学教授を経て、現在は美術史家。専門領域は西洋近現代美術史、とりわけフランスの彫刻家オーギュスト・ロダンとその周辺を研究。著書に『「ロダンの言葉」とは何か』(三元社)。日本で過去4回のカミーユ・クローデル展のうち、3回に関わる(うち監修・展覧会カタログ執筆2回、1996、2006年)。
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