本棚に並ぶたくさんの本のなかから気になる1冊を手に取って開くように、文学と親しむ講座です。旅/健康/科学と人間/ベストセラーなど、本棚には様々なジャンルが並びます。今期は「災禍を描く文学」がテーマです。世界を揺るがしたスペイン風邪の流行や人の手の及ばない大震災を前に、作家たちは、芸術家であることをしばし忘れ、一人の人間として嘆き、家族のために働き、人々にメッセージを発しました。やがてそれらは文学や絵画表現に結実します。マスクの是非、被災地に見る月の美しさ、滑稽な自警団の姿など、今と変わらない人間たちのドラマを辿ってみましょう。 ■災禍を描く文学 7月 「マスク」「子供の病気」――世紀のパンデミック・スペイン風邪 8月 関東大震災と文学表象――芸術家たちの1923年9月1日 9月 芥川、渋沢栄一の天譴説を一蹴する——人間と芸術の復興 ーーーーーーーーー今後の予定ーーーーーーーーー ■文学に書かれた科学/身体/記憶 10月 科学と文学——「寒さ」の公式と語彙 11月 1923年のクリスマス——「少年」 12月 凩の坂道に荷車を押す——「年末の一日」 ■大正期のベストセラー 1月 〈恋愛〉は事件なのか——芥川、「或恋愛小説」を書く 2月 選ばれる聖たち——親鸞・日蓮・イエス 3月 最後のメッセージ——「続西方の人」最終章
安藤 公美:(あんどう・まさみ)神奈川大学講師 東京に生まれ、神奈川に育つ。フェリス女学院大学大学院修了。博士(文学)。神奈川大学、桜美林大学、鎌倉教養センターなどで日本文化・文学、文章・日本語表現法の講師を勤める。著書に『芥川龍之介論―絵画・異文化・都市・映画』(翰林書房)ほかがある。
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