方言は場所によることばの違いです。そのような方言はどのようにしてできるのでしょうか。それを考えるためには、ことばの変化をとらえることが必要です。本講座では「じゃがいも」を表すことばを対象に変化を追います。「じゃがいも」の方言には、人名や地名といった固有名詞がもとになったものがあります。これらが次々に変化を引き起こします。そして、その変化が方言として地域差を示すことになります。では、なぜそのような変化が起こるのでしょうか。そこには言語の本質と、言語を使う人間とのせめぎ合いがあります。本質である言語記号の恣意性が人間に負荷をかけ、その負荷を乗り越えるために人間は言語を変化させます。そのような葛藤の痕跡が「じゃがいも」の方言に現れているのです。(講師:記)
大西 拓一郎:おおにし・たくいちろう 1963年大阪府生まれ。東北大学文学部卒業、東北大学大学院文学研究科修了、国立国語研究所教授。専門は方言学・言語地理学。2010年より生活拠点を長野県に移し、富山大学・信州大学と共同で富山県や長野県でフィールドワークを行い、生活者・言語使用者の思考・感覚に根ざした方言ならびに方言分布形成の要因・過程の解明に取り組んでいる。主な著書は『現代方言の世界』(朝倉書店、2008)、『新日本言語地図』(共著、朝倉書店、2016)、『ことばの地理学――方言はなぜそこにあるのか』(大修館書店、2016)など。東北大学、慶應義塾大学、東京外国語大学、中央大学、名古屋大学、愛知県立大学、放送大学などで言語地理学を講義してきた。
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