三輪山山麓で纒向遺跡が営まれている頃、その近くに石塚やホケノ山などの前方後円形墳丘墓の造営が始まる。直後、最初の前方後円墳・箸墓古墳が築造される。ホケノ山墳丘墓の埋葬施設は石槨と木槨の二重構造で、中国製の内行花文鏡や画文帯神獣鏡の副葬など前方後円墳出現前夜の墳丘墓の実像を知ることができる。箸墓古墳は全長280mの巨大前方後円墳で、段築が始まっており、円筒埴輪の祖形となる吉備系特殊器台を樹立している。ただ、宮内庁が陵墓として管理しているため、埋葬施設の構造や副葬品などの詳細が明らかでないのは残念である。 講座では、ホケノ山などの前方後円形墳丘墓と箸墓古墳を取り上げ、邪馬台国大和説の可能性を考える。 (講師・記) ※2021年10月から続くシリーズです。魏都洛陽〜朝鮮半島を経て邪馬台国への国々をたどり、毎回異なる角度から特色を考察します。
木下 正史:きのした・まさし 東京学芸大学名誉教授 1941年東京都生まれ。東京教育大学卒業。同大学院修士課程修了。日本考古学専攻。奈良国立文化財研究所、東京学芸大学教授を経て、現在、同大学名誉教授。主な著書に『古代日本を発掘する―飛鳥藤原の都―』『飛鳥・藤原の都を掘る』『藤原京』など。
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