朝日カルチャーセンターでは一線の哲学研究者たちによるバラエティに富んだ多数の哲学講義が開催されていますが、本講座は、それらとはまったく異なる性格を持っています。本講座は、哲学に関心のある非専門家たちが集まって、非専門家である講師二人とともに、哲学との「大人のつきあい方」について相談しあうための互助会であることを目指しているからです。 2021年4月からは、過去の講座で要望の多かった文献講読講義を、自己啓発書の古典を使って開始しました。課題は二つ:手続きを踏んで形式的にテクストを読む訓練と、我々自身の通俗性について反省的に検討することです。 自己啓発は、哲学のライバルプログラムとしてすでに私たちの思考に深く大きな影響を与えていますが、それだけでなく私たちが帯びざるを得ない通俗性を反映してもいます。これから1?2年ほどの時間をかけて、自己啓発の一つの起源だと言われる「ニューソート」へと歴史をたどり・調べながら、私たち自身の通俗性について考えてみたいと思います。その作業は、自己啓発書の愛好者にも嫌悪者にも無関心な人にも、そしてなにより、哲学とのつきあい方に苦慮している私たち皆にとって 有意義なもの──「自分自身を知ること」に関わるもの──になるはずです。なお、本講座の受講にあたっては、哲学に関する特別な知識も過去の講座の受講経験もまったく必要ありません。(講師・記) ■2024年4月から[デール・カーネギー『完全版 人を動かす』(東条健一、新潮社、2016年)](https://www.shinchosha.co.jp/book/506653/)を読んでいます。
酒井 泰斗:さかい・たいと ルーマン・フォーラム管理人(socio-logic.jp) 大阪大学大学院理学研究科物理学専攻修士課程中退。音楽制作会社を経て現在は金融系企業のシステム部に所属。専門はインターフェース・デザイン。関心分野は道徳哲学・道徳科学や行動科学の歴史、社会科学方法論争史など。著書: 酒井ほか編『概念分析の社会学2:実践の社会的論理』(ナカニシヤ出版、2016)、 前田ほか編『ワードマップエスノメソドロジー:人びとの実践から学ぶ』(新曜社、2007)。論文:「〈法と科学〉の比較行政法政策論」(『科学・技術・社会』26、2017年、吉良貴之・定松淳・寺田麻佑・佐野亘との共著)など。
吉川 浩満:よしかわ・ひろみつ 文筆家 1972年3月、鳥取県米子市うまれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。国書刊行会、ヤフーを経て、文筆業。関心領域は哲学、卓球、犬猫鳥、ロック、映画、単車など。著述に『心脳問題──「脳の世紀」を生き抜く』(山本貴光との共著、朝日出版社)、『問題がモンダイなのだ』(山本との共著、ちくまプリマー新書)、翻訳に『マインド──心の哲学』(山本との共訳、ジョン・R・サール著、朝日出版社)など。
メールアドレスが必要な講座です。教室で受講される場合もお手元にPC、タブレットなどをご用意いただくことをお勧めします。 課題図書:カーネギー『完全版 人を動かす』(東条健一、新潮社、2016年)
Zoomミーティングを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(1週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはasaculonline001@asahiculture.comで承ります。