『今昔物語集』は、いつ、誰が、何のために作ったのか、不明なままで、しかも未完成に終わった大作です。今も多くの謎に包まれていますが、その世界は人間の生きる、あらゆる生態をあますところなく描いており、興味はつきません。この講座では、『今昔物語集』の巻30「本朝付雑事」を中心に、男女の恋愛、出会いと別れを描いた説話の数々を読み解いていきたいと思います。仏教で言う「愛別離苦」も『今昔物語集』の追究すべき重要な課題であったようです。愛の諸相を軸にした説話の面白さや魅力を存分に味わっていただければと思います。(講師記)
小峯 和明:立教大学名誉教授 1947年静岡県生まれ。早稲田大学文学部卒業。同・大学院修了。文学博士。立教大学教授を経て、現在、立教大学名誉教授。主著:『今昔物語集の形成と構造』(笠間書院)、『今昔物語集の世界』(岩波書店ジュニア新書)、『説話の森』(岩波書店現代文庫)、『説話の声』(新曜社)、『説話の言説』(森話社)、『中世説話の世界を読む』(岩波書店セミナーブックス)、編著『今昔物語集を学ぶ人のために』(世界思想社)、『今昔物語集・宇治拾遺物語』(新潮社古典文学アルバム)、『院政期文学論』(笠間書院)、『中世日本の予言書』(岩波新書)ほか。
★テキスト:『今昔物語集 本朝部 下』岩波文庫・黄19-4 岩波書店 1,320円(税別) ※各自でご用意ください。
★Zoomウェビナーを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(1週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはyk9yokohama@asahiculture.com@asahiculture.comで承ります。