南方熊楠という人物は、その複雑さこそが魅力となっている。南方マンダラに代表される熊楠の宗教観は生物への知見に基づいており、一方で生きものたちへの眼差しには仏教やキリスト教の影響が認められる。生物と宗教のからまりあった独自の世界観を、熊楠の暮らした熊野という土地から読み解いていく。(講師・記) <各回テーマ> 1.南方マンダラの生物学 2.「蟻のマンダラ」−その発見と最新の研究成果から 3.高野山と熊野三山−出家の願望と宗教嫌い ≪今後のスケジュール≫ 2024年10月期 4.「蛇に関する民俗と伝説」−毒蛇と大蛇 5.地獄と極楽の動物たち 6.牛と馬の民俗学 2025年1月期 7.動物に復讐される民話−キリスト教と六道輪廻 8.菌類図譜の世界−秩序と混沌 9.貝殻の博物学−ありふれた種類と珍しい種類 2025年4月期 10.変形菌と淡水藻−微小な生きものを見つめる 11.生物の絶滅と保護と多様性保全 12.熊野という宇宙 ****
志村 真幸:(しむら・まさき)慶應義塾大学文学部民族学・考古学専攻准教授。南方熊楠顕彰会理事。 1977年、神奈川県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。南方熊楠顕彰会理事、慶應義塾大学非常勤講師。専門は比較文化研究。『熊楠と猫』(2018年)、『南方熊楠のロンドン』(2020年)、『熊楠と幽霊』(2021年)ほか。『南方熊楠のロンドン』にて、サントリー学芸賞(2020年、社会・風俗部門)、井筒俊彦学芸賞(2021年)を受賞。南方熊楠顕彰館(和歌山県田辺市)にて、「ロンドン時代の南方熊楠」展(2016年)、「南方熊楠と和歌山の食文化」展(2018年)などを担当。
※プリントを配布します。 参考図書 『南方熊楠の生物曼荼羅』(三弥井書店)
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