自然界には太陽、風雨、火山など様々なエネルギー源があふれています。人類はそのエネルギーの恩恵にあずかったり、翻弄されたりしながら生存してきました。また、数十万年前に「火」を使い始めたことによって、積極的にエネルギーを生活に取り入れながら文明を発展させてきました。 日常会話でもよく使われる「エネルギー」という言葉ですが、そもそもエネルギーの正体は何なのでしょう。曖昧なエネルギーという言葉は物理学の発展とともに、その正体が明らかになってきました。反対に、エネルギーの解明が物理学の発展そのものだということもできます。本講座では、エネルギーと物理学の歴史、そして社会とのつながりについてお話します。(講師・記) 【カリキュラム】 第1回 自然界のエネルギー 自然界にはさまざまなエネルギー源が存在し、それらは様々な自然現象を引き起こしています。私たちはどのようなエネルギーをどうやって利用しているのか紹介します。 第2回 エネルギーの歴史 「エネルギー」という言葉は、15世紀頃にヨーロッパで誕生したとされます。この歴史の中にはガリレオ、デカルト、ライプニッツなどといった錚々たる学者が登場します。エネルギーの歴史とそれにまつわるお話しをします。 第3回 熱とは何か エントロピーの発見 エネルギーの概念の発達に大きな影響を与えたのが「熱」です。熱とは何か、という問いから色々なことが分かってきました。例えば、エネルギーには「使いやすい/使いにくい」という「質」があります。このエネルギーの質のことを「エントロピー」といいます。エントロピーという概念の発見は、物理学の歴史の中でも最も重要な発見の一つです。熱とエントロピーのお話をします。 第4回 エネルギーと相対性理論 アインシュタインの大発見 20世紀に入り、それまで理解できていたと信じていたエネルギーの理解が不十分であることが明らかになりました。エネルギーと何の関係もない「質量」もエネルギーの一種であることが分かったのです。これは「時間」、「空間」とも関係していました。エネルギーと相対性理論の関係についてお話しします。 第5回 現在のエネルギー 物質の統一理論 現在の物理学者が到達したエネルギーの概念は、エネルギーの励起状態を物質ととらえる場の量子論として理解されています。この理論がどうやって生まれたのか、またこれを利用した素粒子の統一理論のお話をします。 第6回 究極のエネルギー源 核融合発電 現在、地球温暖化との関係で二酸化炭素をできるだけ放出しないエネルギー源に注目が集まっています。今ある原子力発電所は原子核分裂奉納を利用し二酸化炭素を放出しませんが、きわめて危険な放射線を出し、いったん事故が起こると大災害を引き起こします。一方、「原子核融合反応」を利用した発電は、有害な放射線を出さず、燃料も比較的容易に採取できるため究極のエネルギー源として期待されています。核融合発電研究の現状をお話しします。
二間瀬 敏史:(ふたませ・としふみ)東北大学名誉教授。専門は、一般相対性理論、宇宙論。1981年京都大学理学部卒業。1983年カーディフ大学大学院博士課程修了(イギリス)。マックスプランク天体物理学研究所、ワシントン大学研究員、弘前大学理学部助教授、東北大学大学院理学研科教授、京都産業大学理学部教授を経て、東北大学名誉教授。著書に『ブラックホール―宇宙最大の謎はどこまで解明されたか』(2022)中公新書、『どうして時間は「流れる」のか』(2012)PHP新書、他多数。
※9/3は、お休み。9/10は、第2週。 *** Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。見逃し配信(1週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはasaculonline001@asahiculture.comで承ります。