本講座では、17世紀のオランダの哲学者、スピノザの『エチカ』を丁寧に読んで解説していきます。この講座は、2016年から対面で開講してきました。今年度の4月期の講座からオンラインでの受講も可能になりましたので、途中からでもぜひご参加ください。『エチカ』は、最初から順番に読んでわかるものではありません。どこから読み始めても、同じ難解さに直面します。重要なことは、哲学上のスタイルなど関係なく、『エチカ』に内在しつつ、考えることです。本講座では、『エチカ』を構成するスピノザのそれぞれの言説が、あるいはその言表作用がいかなる哲学上の意義をもつのかを講義形式も取り入れて十全に展開したいと思っています。今月期は、引き続き、第三部「感情の起源および本性について」における身体の変様と精神の受動感情との間の並行論の意義を十分に考えていきます。感情は、第一に物の認識の仕方であることが明確に理解されるようになるでしょう。こうした本質的問題を通して、現代哲学としての、人類にとってもっとも重要な書物としての『エチカ』の意義、その反道徳主義的な倫理学の画期的な思考を、なるべく分かりやすく提示するつもりです。奮ってご参加ください。(講師記) <各回テーマ> 第1回 感情の葛藤:愛はどのように憎しみに変化するのか 第2回 感情の葛藤:欲望と欲望以外の感情との関係 第3回 感情の葛藤:悪の潜在的な増大化 *使用テキスト:スピノザ『エチカ』畠中尚志訳、岩波文庫、上・下巻(各自で用意してください)
江川 隆男:1958年東京生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程退学。立教大学教授。博士(文学)。著書に、『存在と差異――ドゥルーズの超越論的経験論』(知泉書館)、『死の哲学』、『超人の倫理――〈哲学すること〉入門』、『アンチ・モラリア――〈器官なき身体〉の哲学』、『すべてはつねに別のものである』(以上、河出書房新社)、『スピノザ『エチカ』講義』(法政大学出版局)、『残酷と無能力』、『内在性の問題』(月曜社)、訳書に、ドゥルーズ『ニーチェと哲学』、ドゥルーズ/パルネ『ディアローグ』(以上、河出文庫)、ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』(月曜社)など、論文等に、「哲学とは何か――パンデミックと来るべき民衆に向けて(インタビュー)」(『HAPAX13』、夜光社)などがある。
<テキスト>スピノザ「エチカ」畠中尚志訳、岩波文庫、上・下巻:各自でご用意下さい。
Zoomウェビナーを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(1週間限定)は翌週月曜中にマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはasaculonline001@asahiculture.comで承ります。