一般に縄文社会は定住生活と捉えられることが多い。しかしながら農耕によって土地に強く縛りつけられた弥生以降の社会(年間定住)とは異なり、狩猟採集社会であった縄文は、集落を拠点としながらも、生きるための糧を求めてその時々に分布の異なる周囲の資源の間を定期的に遊動する生活(季節的定住)を基本としていた。そのため弥生以降に典型的で、定住集落を中心に配置した里山景観とは異なる土地利用のパターンを作り上げていたと考えられる。 本講義では、このような縄文時代の生活構造の特徴について議論したい。(講師・記) 【カリキュラム】 1)季節的定住(定着)とはどのような生活社会か 2)生活空間と領域: 狩猟採集民考古学の知見から 3)縄文の山と海の暮らし
佐藤 宏之:さとう・ひろゆき 東京大学名誉教授 1956年宮城県仙台市生まれ。1982年東京大学文学部考古学専修課程卒業、(財)東京都埋蔵文化財センター調査員。1994年法政大学大学院人文科学研究科博士課程修了、博士(文学)取得。1997年東京大学大学院人文社会系研究科付属常呂実習施設助教授。1999年東京大学大学院新領域創成科学研究科(環境学)助教授。2003年東京大学大学院人文社会系研究科(考古学)助教授。東京大学大学院人文社会系研究科(考古学)教授を経て、東京大学名誉教授。
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