『三国志』にも登場する朱然(182〜249年)は、呉の孫権に重用された武将で、特に関羽を捕らえた活躍によって世に知られています。その墓は、長江下流域の安徽省馬鞍山市雨山で1984年に発掘され、朱然の名を記した木製の名刺のほか、陶磁器や青銅器など多くの副葬品が出土しました。なかでも、さまざまな故事や宴会の場面などを描いた漆器類は、美術的にも、学術的にも、高く評価されています。この講座では、朱然墓の周辺から新たに発見された考古資料もあわせて紹介し、発掘された遺跡や遺物から、朱然という人物に迫っていきます。
向井 佑介:京都大学人文科学研究所准教授 兵庫県生。京都大学大学院文学研究科博士後期課程から京都大学人文科学研究所助教、京都府立大学講師・准教授を経て、2017年より現職。専門は中国考古学・歴史考古学。著書に『中国初期仏塔の研究』(臨川書店)など。
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