東条英機(1884〜1948)は第40代の内閣総理大臣として、対英米戦争を指導した陸軍軍人です。A級戦犯として処刑されてから約80年を経た現在も、その評価は第二次世界大戦における敗軍の将として語られ、無謀な開戦の責任や戦時下の独裁的な権限などに関する厳しい批判が向けられます。 そのうえで、戦争指導者としての東条についての研究者の見解は、刷新が進みつつあります。東条が取り組んだ戦時下日本の政治的な課題とは何であったのか。この問いに対する考察は、単なる独裁者としてのイメージや、政治能力の欠如などの指摘にとどまらない東条の実像を明らかにすることで進展しました。そこで本講義では、近年の学説をふまえて東条英機とその内閣(1941〜44)を検証し、主として「昭和期の政治」という論点から、後代にもつながる課題を考えていくことをめざします。(講師・記)
小山 俊樹:こやま・としき 1976年広島県生まれ。帝京大学文学部教授(日本近現代史専攻)。京都大学文学部卒業。京都大学博士(人間・環境学)。大正・昭和期の政治史を中心に研究。著書に『五・一五事件』(中公新書、サントリー学芸賞受賞)、『評伝森恪』(ウェッジ)、『憲政常道と政党政治』(思文閣出版)、『近代機密費史料集成T・U』(編著、ゆまに書房)、共著に『大正史講義』『昭和史講義』1〜3(ちくま新書)、『日本政治史の中のリーダーたち』(京都大学学術出版会)など。
筆記用具
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