これまで、「スピノザのアクチュアリティ」と題した講座を2年以上続けてきた。いわゆる「汎神論論争」、ゲーテからドゥルーズ、ゲルー、マトロンまで様々な思想家たちのスピノザ解釈を取り上げてきたが、今回の講義はその暫定的なまとめの意味を込めたものとなる。一方では、「スピノザと「68年5月」の続編として、1978ー81年度にドゥルーズがパリ第8大学で行ったスピノザ講義を取り上げる。これはいまだ書物としては出版されていない講義であるが、ウェブページで100ページを超える実に充実した資料で、永遠性や無限性など『スピノザと表現の問題』では必ずしも十全に論じられていない数々の論点が取り上げられている。未邦訳の講義なので、重要な箇所の邦訳を試みつつ講義する。 その一方で、講師がスピノザと深く係るきっかけとなったレヴィナスのスピノザ批判を改めて取り上げ、表現、無限、自己(se)などの観念に着目しつつ、レヴィナスのスピノザ理解について新たな解釈を提示するとともにドゥルーズのそれとの対比をおこなう。それをもって2年余にわたる講義の暫定的まとめとしたい。(講師・記) 第一回:「スピノザと「68年5月」」の復習。ドゥルーズのスピノザ講義の概要。 第二回:ドゥルーズのスピノザ講義読解 第三回:ドゥルーズのスピノザ講義読解(続) 第四回:ドゥルーズのスピノザ講義(続) 第五回:スピノザをめぐるドゥルーズとレヴィナス 第六回:スピノザをめぐるドゥルーズとレヴィナス(続)
合田 正人:ごうだ・まさと 1957年生まれ。一橋大学社会学部卒業。パリ第八大学哲学科に留学。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。東京都立大学助教授を経て、現職。専攻は、思想史。著書に、『レヴィナスの思想−希望の揺籃』(弘文堂、改訂版はちくま学芸文庫)、『ジャンケレヴィッチ――境界のラプソディー』(みすず書房)、『幸福の文法』(河出ブックス)、『フラグメンテ』(法政大学出版局)など。訳書に、レヴィナス『全体性と無限』(国文社)、『固有名』(みすず書房)、『存在の彼方へ』(講談社学術文庫)、ベルクソン『講義録』(法政大学出版局)、ジャンケレヴィッチ『最初と最後のページ』(みすず書房)、ベルクソン『物質と記憶』『創造的進化』『道徳と宗教の二つの源泉』(筑摩書房)、レイ『レヴィナスと政治哲学』(法政大学出版局)、ジャン=クレ・マルタン『ドゥルーズ−経験不可能の経験』(河出文庫)、デリダ『エクリチュールと差異』(法政大学出版会)など。論文に、「他者と他者―フロイト・ラカン・レヴィナス」(『ラルシュ』)ほか。
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