安部公房は、詩人から実存主義の小説家、そしてシュルレアリスムの作家へと、目まぐるしい変貌を遂げ、「変貌の作家」と呼ばれました。その後もルポルタージュ、ラジオドラマ、テレビドラマ、映画、演劇と、さまざまな分野で活躍した人です。 今回の講座では、『箱男』という小説をとりあげます。安部公房の作品の中で最も実験的と言われるものですが、1970年代の大学生たちに支持されてベストセラーになりました。今年、石井岳龍監督による映画の公開も予定されています。『砂の女』、『他人の顔』、『燃えつきた地図』という「失踪三部作」に続いて安部公房が手がけた、新たな「失踪」の形とはどのようなものなのでしょうか。ダンボール箱をかぶって都市をさまよう箱男の世界を探求してみましょう。 (講師・記)
鳥羽 耕史:早稲田大学文学学術院教授。1968年東京都生まれ。北海道大学文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学、博士(文学)。現在、早稲田大学文学学術院教授。著書に『運動体・安部公房』(一葉社、2007年)、『1950年代——「記録」の時代』(河出書房新社、2010年)、『安部公房——メディアの越境者』(編著、森話社、2013年)、『「サークルの時代」を読む——戦後文化運動研究への招待』(共編著、影書房、2016年)、『転形期のメディオロジー——一九五〇年代日本の芸術とメディアの再編成』(共編著、森話社、2019年)『ミネルヴァ日本評伝選 安部公房――消しゴムで書く』(ミネルヴァ書房、2024年)ほか。
『箱男』のテキストは各自ご用意下さい。どのテキストでもかまいません。
Zoomウェビナーを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(1週間限定)は月曜日(4月22日)以降、マイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはasaculonline001@asahiculture.comで承ります。