『指輪物語』(1954-55)は、現代ファンタジーの代表的な作品であると同時に、さまざまな形で現代の文化に大きな影響を与えています。カウンターカルチャーの時代にはヒッピーたちの聖典となり、ロール・プレイング・ゲーム(RPG)も『指輪物語』にはじまる異世界ファンタジーなくしては生まれなかったでしょう。 この広大な作品世界を生みだしたJ・R・R・トールキン(1892-1973)は中世英文学、とくに『ベーオウルフ』研究に大きな足跡を残した研究者でした。そこで出会ったゲルマン民族の伝承や北欧の神話・伝説からもヒントを得て、『ホビットの冒険』(1937)や『指輪物語』の舞台となる異世界とその文化・言語などを作り上げました。 作者トールキンとその『ベーオウルフ』研究、『指輪物語』の作品世界全体、さらには現代ファンタジーというジャンルについて紹介しながら、『指輪物語』の第1巻「旅の仲間」から読みすすめていきます。 昨年10月からの講座に引きつづき、J・R・R・トールキン『指輪物語』の続きを読み進めていきます。 前編では作品理解に必要な周辺の知識の紹介を主に行いましたが、4月からは作品そのものをじっくりと読み、トールキンの創りあげた〈第二の世界〉の魅力を存分に堪能しましょう。(講師記) 『二つの塔(上)』:第三巻――アイゼンガルドの反逆 『二つの塔(下)』:第四巻――モルドールへの旅 『王の帰還(上)』:第五巻――指輪戦争 『王の帰還(下)』:第六巻――王の帰還
長澤 唯史:椙山女学園大学教授 1963年静岡県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻修士課程修了。豊田工業高等専門学校助教授、椙山女学園大学文化情報学部助教授などを経て、2008年より椙山女学園大学国際コミュニケーション学部教授。共著『日米映像文学は戦争をどう見たか』(金星堂)。論文"The Reception of American Science Fiction in Japan" (Oxford research encyclopedia of Literature,)、「ポストモダンはSFを夢みる ―SFをめぐる批評理論の概観」(『文学』第8巻第4号)。その他、『文藝別冊』(河出書房新社)、『70年代ロックとアメリカの風景〜音楽で闘うということ』(椙山女学園大学研究叢書 49)にてロック、ポップミュージックに関する論考を発表している。
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