稲作の開始期、奈良盆地の中央部に唐古・鍵遺跡が出現し、後期にかけて大環濠集落へと発展した。中国式楼閣や祭殿、大型建物が建造され、銅鐸や鉄器の生産と流通の一大拠点でもあった。多数の衛星集落を伴い、広域にわたる政治的統合の中核となる「王都」へと成長した。前方後円墳の出現前夜、急速に衰退する。代わって、三輪山山麓に纒向遺跡が出現し、3・4世紀にかけて巨大化する。濃尾平野から九州に及ぶ各地の土器が多量に運び込まれており、広域に及ぶ政治・文化の中心地へと成長する。纒向の地で前方後円墳が創出され、その後、巨大前方後円墳が続々と営まれる。 唐古・鍵遺跡と纒向遺跡の実像を探りつつ、邪馬台国ヤマト説の可能性を検討する。 (講師・記) ※2021年10月から続くシリーズです。魏都洛陽〜朝鮮半島を経て邪馬台国への国々をたどり、毎回異なる角度から特色を考察します。
木下 正史:きのした・まさし 東京学芸大学名誉教授 1941年東京都生まれ。東京教育大学卒業。同大学院修士課程修了。日本考古学専攻。奈良国立文化財研究所、東京学芸大学教授を経て、現在、同大学名誉教授。主な著書に『古代日本を発掘する―飛鳥藤原の都―』『飛鳥・藤原の都を掘る』『藤原京』など。
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