詩が言語の精髄であれば、やまとことばの精髄が和歌です。主上から臣下・女房・僧侶に到るまで、四季の移ろい、恋の悩み、老いの歎きを和歌の詞に託し、和歌を通して心を見つめてきました。その集成である勅撰和歌集は、先人の遺産などではなく、現在に生きる私たちの心の糧、言葉の資源、文化の底荷です。その最高峰と言ってよい『新古今和歌集』を読みます。それは、日本人の情調の濃やかさと言葉の鋭敏さ、それらに支えられた文化の豊かさを実感することに他なりません。本講座では、『新古今和歌集』の歌を、1回につき7首程度のペースで講読します。一首一首を丁寧に読み込みながら、歌の並び方(配列)の妙味も味わい、他の作品との関わりや各歌人の人物像やエピソードなどにも触れたいと思います。毎期6回を5期続けて30回を一つの区切りとしますが、全1978首の読破を目指します。(講師・記) 【カリキュラム】 第1回 われに教へよ海人の釣り舟―恋歌一、二 1076〜1082― 第2回 漏らすなよ雲ゐる峰の初時雨―恋歌二 1083〜1089― 第3回 人知れず苦しきものは信夫山―恋歌二 1090〜1096―― 第4回 後の世を嘆く涙と言ひなして―恋歌二 1097〜1103― 第5回 思ひ余りそなたの空を眺むれば―恋歌二 1104〜1110― 第6回 もの思ふ袖をさして答へむ―恋歌二 1111〜1117― ★「新古今和歌集」(岩波文庫)もしくはお手持ちのものを各自ご用意ください。 本文と資料はご用意しますので、無くても結構です。 ◆どの回からでも途中受講のお申し込みが可能です。
中川 博夫:なかがわ・ひろお 鶴見大学名誉教授 1956年東京生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。同大学院文学研究科修了。博士(文学)。徳島大学助教授を経て現職。90年、第18回日本古典文学会賞受賞。編著書には、『玉葉和歌集 上・下』(明治書院)、『大弐高遠集注釈』(貴重本刊行会)、『中世和歌論』(勉誠出版)、『百人一首の現在』(青簡舎)など。
<テキスト> 「新古今和歌集」(岩波文庫)もしくはお手持ちのものを各自ご用意ください。 本文と資料はご用意しますので、無くても結構です。
・Vimeoを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(1週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはasaculonline001@asahiculture.comで承ります。 ・教室は変わる場合があります。当日の案内表示をご確認ください。