『源氏物語』は光源氏の人生を最大の柱として、その周囲の人々の大小の人生をも撚り合わせるようにして構成された物語です。その一つ一つの人生のドラマに作者の温かい眼が注がれています。 この講座では、光源氏の父、兄弟、子、朋友、家臣などのさまざまな人生模様を追うことで、この物語の魅力をさぐっていきます。毎回、一人もしくは数人を取り上げて、一回毎に完結する講座です。同時に、前後の月と関連するように工夫して、自然に『源氏物語』全体の流れが見渡せるようにしたいと考えています。最終回はまとめの意味で、光源氏という人物の謎にも迫ってみたいと思います。 資料は講師の方で準備しますので、教室もしくは画面の前に直接お越し下さい。『源氏物語』について、さまざまな人間ドラマとして楽しんでみましょう。(講師・記) ※2024年1月開講・1年間(12回)の予定 【1月期のカリキュラム】 1)1/9 桐壺帝 −真実を知っていたのか− 一回目は、光源氏の父桐壺帝です。光源氏に深い愛情を注いだこの人物は、藤壺と光源氏の秘密の恋を知っていたのでしょうか。物語の冒頭から登場する桐壺帝の人生を考えてみます。 2)2/13 朱雀帝 −比較される兄弟− 二回目は、光源氏の兄の朱雀帝です。桐壺帝の第一皇子として生まれながら、弟の光源氏の影になってしまったような人物です、朱雀帝自身は弟のことをどう思っていたのでしょうか。 3)3/12 左大臣と右大臣 −家族思いの権力者− 物語の前半部の背景には、この二大勢力の対立の構造があります。温厚な左大臣、強引な右大臣、対照的な人物として描き出される二人の姿、そして共通する家族愛などについて考えます。 ※カリキュラムは変更になる場合があります。ご了承ください。 【来期4月期のカリキュラム(予定)】 4)4月 前坊と蛍宮と八宮と −親王という生き方− 5)5月 頭中将 −左右大臣家をつなぐ人− 6)6月 鬚黒大将 −時代に翻弄された男− ◆「シリーズ・源氏物語がたり」関連講座の一覧は[こちら](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WTokushuShosai.do?tokushuId=781)をご覧ください。
田坂 憲二:元慶応義塾大学文学部教授 1952年福岡県生まれ。九州大学大学院修了。福岡女子大学教授、群馬県立女子大学教授、慶應義塾大学教授を歴任。専攻は『源氏物語』を中心とする平安時代文学。著書に『源氏物語の政治と人間』(慶應義塾大学出版会)、『源氏物語の人物と構想』(和泉書院)、『源氏物語の方法を考えるー史実の回路』(武蔵野書院、共編著)、『名書旧蹟』(日本古書通信社)などがある。
筆記用具
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