二千字近い『魏志』倭人伝のうち、「邪馬台国」(原文では「邪馬壹國」)・「卑弥呼」の熟語はそれぞれ一箇所にしか登場しない。もちろん関連する記事はあるが、『魏志』倭人伝が邪馬台国や卑弥呼のことを述べた記録であるかといえば、百パーセント該当するわけではない。『魏志』倭人伝は朝鮮半島北部の帯方郡から倭国に至るまでの里程や魏の推定する倭国の位置に関する記録の第一部、その風俗について述べた第二部、そして魏と倭との交渉について詳述した第三部、との三部構成に分けることができる。本講座ではこの三部について順次解説するが、特に魏と倭との交渉について重点的に述べていきたい。(講師・記) ●各回のテーマ 第1回 里程論と魏の推定した倭国の位置 第2回 倭国の風俗 第3回 魏と倭との交渉
金子 修一:1949年5月 東京都生まれ。 2005年10月〜2020年3月 國學院大學文学部教授 現在 國學院大學名誉教授・山梨大学名誉教授 山梨大学教育学部在職中の1985年3月〜12月に北京の中華人民共和国社会科学院歴史研究所に留学。また、2010年4月〜2011年3月に中華人民共和国社会科学院歴史研究所に再び留学、2010年9月から12月には西安の陝西師範大学で中国史を講義。2023年5月〜7月には、西安電子科技大学で日本史を講義。 主な著書 『隋唐の国際秩序と東アジア』名著刊行会、2001年 『古代中国と皇帝祭祀』汲古書院、2001年(肖聖中・呉思思・王曹傑訳『古代中国与皇帝祭祀』復旦大学出版社、2017年) 『中国古代皇帝祭祀の研究』 岩波書店、2006年(徐璐・張子如訳『中国古代皇帝祭祀研 究』西北大学出版社、2018年) 『古代東アジア世界論考――改訂増補隋唐の国際秩序と東アジア――』八木書店古書出版部、2019年
講師は原文の書き下しは作成しないので、『魏志倭人伝』をお持ちの方は参照してください