邪馬台国時代の旦波地域は、出雲と越など日本海沿岸地域、そして中国・朝鮮半島とを水運で結ぶ交流・交易の要地であり、日本海側と瀬戸内側とを南北に結ぶ要衝でもあった。 旦波では、弥生時代前期末にいち早く方形墳丘墓を生み出す。その後、邪馬台国時代にかけて吉備や出雲とは異なる「方形台状墓」と呼ぶ墳丘墓文化を発達させた。大風呂南墳墓、赤坂今井墳墓は大型「方形台状墓」の代表例である。これらは大型埋葬施設を設け、中国製のガラスくしろや管玉、多量の鉄刀や鉄製武器類など他地域にはない優れた品々を副葬する。朝鮮半島との交流を物語る副葬品もある。 邪馬台国時代に、旦波地域に有力なクニがあったことは疑いない。大国の投馬国の所在を推定する説もある。方形台状墓の展開を中心に、その文化の特色を探りつつ、投馬国旦波説の当否などクニの実像について考えてみたい。(講師・記) ※2021年10月から続くシリーズです。
木下 正史:きのした・まさし 東京学芸大学名誉教授 1941年東京都生まれ。東京教育大学卒業。同大学院修士課程修了。日本考古学専攻。奈良国立文化財研究所、東京学芸大学教授を経て、現在、同大学名誉教授。主な著書に『古代日本を発掘する―飛鳥藤原の都―』『飛鳥・藤原の都を掘る』『藤原京』など。
当日、資料を配布いたします。
・Vimeoを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。お問合せはasaculonline001@asahiculture.comで承ります。 ・教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。