哲学は世界を見るメガネです。そのメガネをかけて世界を見ると、どんな世界が広がっているのでしょうか。ここに哲学の面白さがあります。しかし、困ったことに哲学者が提示するメガネは、言葉や概念によってできており、その基本的な意味を理解する必要があります。この講座では、哲学の重要な言葉を取り上げ、それぞれの意味の違いや変化について明らかにします。分かったつもりの言葉も、意外と誤解しているものです。この機会に、今までの知識をぜひともブラッシュアップしてみませんか。(講師記) ★今期開講。1年12講で学びます。 <各回カリキュラム(予定)> 2025年7月期 「弁証法」って役に立つの? 1 ヘーゲルの「弁証法」? 2 プラトンがつくった「問答法」! 3 通俗化したマルクス・エンゲルスの「弁証法」 2025年10月期 「テクノロジー」って悪いもの? 4 プラトンやアリストテレスの「技術」論 5 ベーコンや百科全書派の「技術」論 6 ハイデガーの「技術」論 2026年1月期 「力」にも、さまざまな意味がある 7 ベンヤミンの「暴力」論 8 ニーチェの「権力」論 9 アーレントの「権力―暴力」論 2026年4月期 「自由」に関する誤解? 10 バーリンとフロムの「積極的自由」 11 カントかミルか? 12 スピノザとヘーゲルの「自由」
詳しく見る陸上の地質から日本列島を考えた人はたくさんいるが海から見た者は少ない。それは潜水調査船で海の底を探求する生物学者は多いが地球科学者は少なかったからである。海底の観察から出てきた地球科学の原理に「海洋底拡大説」がある。海の底からプレート境界である沈み込み帯(海溝)やプレートが生産される拡大軸を眺めて見て、そこからどのような重要な情報が得られたかを見ていきたい。題して「海から眺めた地球科学」である。 本講座では日本列島周辺の海底へ潜って見てきた話から始めて背弧海盆、深海湾、世界の三大洋の拡大軸の海底を見ていく。これらのことを通して地球科学全体の大枠を理解しようというものである。「百聞は一見に如かず」なのでいくつかの海底でのビデオもお見せする。(講師・記) *2025年7月開講・1年間(12回)の予定 【今期カリキュラム】 ■その1 構造侵食と付加体 プレートが沈み込む沈み込み帯にマリアナ型とチリ型に分類された。前者には構造侵食が卓越し、後者は付加体を作る。日本でのこの2つの代表的な模式地は日本海溝と南海トラフである。構造侵食とは海溝に沈み込むプレートが陸側の地層を削り取って地下深くへと引きずり込む作用である。付加体は海溝に貯まった海陸両側の堆積物が混ざって陸側へと押しあげられて陸地を作っていく作用である。この2つのタイプの沈み込み帯は世界に同じくらいの数あって、陸は増えもしないし減りもしない。これら2つの沈み込み帯尾海底での現象を深海調査船「しんかい6500」によって観察した結果をビデオを交えて紹介する。 1.日本海溝 構造侵食 日本海溝には太平洋プレートが沈み込んでいる。プレートは沈み込む前に外縁隆起帯(アウターライズ)を作るときに正断層によって地塁・地溝構造を作るが、これが歯車のような役割をして、沈み込まれる側の地層を削り取る。その部分は地下深くへと沈み込んで行くのであたかも鎮色が起こっているように見える。沈み込んだプレートは地下100qほどのところで陸側のマントルに水を供給し、マントルの岩石の融点が下ってマグマが形成される。マグマは地表へ上がると火山を作る。沈み込みに伴って巨大地震が起こり、化学合成生物群集が形成される。ここでは潜水調査や掘削船による調査が行われている。 2.伊豆・小笠原海溝 蛇紋岩海山と鯨骨生物群集と熱水系 伊豆・小笠原海溝は日本の本州に直交する方向、南北に分布しており、そこには太平洋プレートが沈み込んでいる。プレートは20qほどの地下で上部マントルの橄欖岩に水を供給し、橄欖岩が蛇紋岩に化けて軽いので上昇し山、蛇紋岩海山を形成する。背弧側には熱水鉱床が形成されている。東青ヶ島、ベヨネーズ列岩、(明神礁)、水曜海山などで熱水系がみつかっている。これらの熱水系は1983年に藤岡によってその存在が予想されており2000年にみつかった。沖縄トラフに次ぐ発見であった。ここでは潜水調査や掘削船による調査が行われている。マリアナに見られる蛇紋岩海山や珍しい鯨骨生物群集がみつかっている。 3.南海トラフと付加体 シロウリガイの大群集 南海トラフは水深4800mなので海溝とは呼ばず「トラフ」(舟状海盆)と呼ばれている。しかし底にたまった2000mにも及ぶ堆積物を取り去ると深さ6800mになって立派な海溝である。ここにはフィリピン海プレートが沈み込んでいる。若いフィリピン海プレートは沈み込む角度が緩くて海溝に貯まった堆積物を陸の上にのし上げる。それは丁度ドミノ倒しのような構造で、付加体を形成する。付加体は逆断層の積み上げで古い地層が上に積もっていく。ここでも巨大地震が起こっており、化学合成生物群集や泥火山が形成されている。活火山は海溝から離れた日本海側に三瓶山や大山が見られる。ここでは潜水調査や掘削船による調査が行われている。掘削によって付加体の先端部が掘り抜かれ沈み込むプレート玄武岩まで掘られ付加体の構造が明らかになった。 **** 【今後の予定】 ■10月期 その2 日本列島周辺の海溝 4.琉球海溝(南西諸島海溝) 日本で初めて見つかった熱水系 5.マリアナ海溝 前弧の蛇紋岩海山と背弧マリアナトラフの熱水系 6.ヤップ・パラオ海溝 石灰岩体の崩落とマントル(モホ面)を横切る ■2026.1月期 その3 特異な海溝、深海湾、背弧海盆 7.千島海溝 海山の沈み込んだ海溝と化学合成生物群集 8.日本海とフィリピン海 新しい沈み込みと巨大地震 9.深海湾である相模湾 プレート境界の湾とフォッサマグナ ■2026.4月期 その4 拡大系―海嶺 10.大西洋中央海嶺 メガムリオン 11.東太平洋海膨 浅いマグマだまり 12.インド洋 海嶺三重点と奇妙な生態系
詳しく見るワーグナーの反ユダヤ思想とナチズムに関して、毎回異なるテーマを設定して様々な角度からアプローチしてまいりましたが、今回の講義では、これまで見てきたことを一度整理して、ワーグナーの反ユダヤ観とナチズムという問題を、現在の私たちの社会状況と照らし合わせながら考察してみたいと思います。 ワーグナーの反ユダヤ観の基本となる部分を説明しながら(彼の論文「音楽におけるユダヤ性」と『マイスタージンガー』を主に取り上げます)、それをヒトラーの反ユダヤ観と比較し、両者の関連性や現代社会との繋がりについてお話ししようと思っております。(講師・記) ※本講座は半年に一度のペースで開講しているシリーズ講座です。毎回異なる角度からワーグナーの反ユダヤ思想について論じます。 参考文献は、以下のとおりです。 *セバスチャン・ハフナー『ヒトラーとは何か』瀬野文教訳、草思社文庫、2017年。 *宮田律『「ユダヤ人とイスラエル」がわかれば「世界の仕組み」が見えてくる』、ワニブックスPLUS新書、2012年。 *鈴木淳子『ヴァーグナーと反ユダヤ主義―――「未来の芸術作品」と19世紀後半のドイツ精神』、アルテスパブリッシング、2011年。 *鈴木淳子『ヴァーグナーの反ユダヤ思想とナチズム―――『わが闘争』のテクストから見えてくるもの』、アルテスパブリッシング、2015年(第2版)。(講師・記)
詳しく見るマウントを取る人はどこにでもいます。だいたい、自慢ばかりして周囲の称賛を求める自慢称賛型、自分のほうが“上”であることを誇示して相手を思い通りに支配しようとする操作支配型、相手の価値を否定することによって自身の相対的優位性を高めようとする価値否定型の三つのタイプに分けられます。それぞれのタイプの精神構造と思考回路を分析し、なぜマウントを取らずにはいられないのか解説します。また、マウントを取る人への対処法を提案し、自分がマウントを取りたくなったらどうすればいいのかについても具体的にお話しします。(講師・記) ◆ご質問について◆ [質問フォームはこちらです](https://forms.gle/aT3XJo7h9CMR84rY7) ※締切は6月23日(月)17時、今回のテーマに関する質問でお願いします。個人的なご質問はご遠慮ください。 お一人様、1回のみとなります。悪しからずご了承ください。
詳しく見る鈴木惣一朗さんは、1985年に細野晴臣さんが主宰するノン・スタンダード・レーベルからアルバム『WORLD STANDARD』でデビューを果たしました。今年はそのデビューから40周年となります。 この記念の年に、当時プロデュースに関わった牧村憲一さんと鈴木さんのお二人に1980年代の音楽シーンを振り返っていただきます。 1980年代の日本の音楽シーンの幕開けは、1977年や1978年に遡ることができます。録音技術の革新により、アナログからデジタルへと移行する時期でもありました。この時代には、ニューウェーブ、テクノポップ、シティポップといった新しい音楽が生まれ、世界に発信されることとなります。この講座では、その音楽的潮流や時代背景についての考察を行います。 さらに、牧村さんには、大瀧詠一さんや山下達郎さん、大貫妙子さん、竹内まりやさんなど、数々のアーティストとの関わりを通じて得た貴重な経験についてもお話しいただきます。 改めて1980年代の音楽シーンや、音楽プロデューサーの役割について考える貴重な機会となります。ぜひご参加ください。
詳しく見る土曜の朝、さまざまな作曲家やクラシック作品を“気ままに”取り上げ、お届けしている「気ままに音楽史」講座。長野先生の軽快なお話しと、貴重な映像作品の鑑賞体験はいかがですか? オンライン受講限定で、特別に1回ずつの受講が可能です。 6月28日は『シューベルトのピアノ・ソナタ第18番』をお送りします。 ※[「まだまだ気ままに音楽史X」](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7918719&p=d1d52f814d1e1675aade52908b8b9c77782a24df185193571b314b21e8a56be6)は、毎月第2・4土曜日に開催中です。 =======================================
詳しく見る最近、SNSなどで人気を集めているコミックエッセイ。漫画の一つのジャンルとして、ますます注目を浴びています。コミックエッセイは、自分の日々の出来事や自分史をユーモアや感動を交えながら描くことができ、その自由な表現方法が多くの人々の心を捉えています。 特別な体験をしていなくてもコミックエッセイは描けます。日常の出来事、周りの人、好きなことやペットなど、普段の生活の一場面をどのように切り取って、どのように描くか。その人ならではの視点こそが大事なジャンルです。 この講座では、KADOKAWAコミックエッセイ編集部編集長・山ア旬さんが、参加者の描いた作品を一人ずつ丁寧に講評します。 コミックエッセイを通じて、自分の思いや経験を多くの人と共有し、共感を呼ぶ力を身につけましょう。 第1回 講義/コミックエッセイの特徴とポイント 第2回 講評/提出作品への講評(テーマ自由/8P以内) 第3回 トーク/ゲスト:コミックエッセイ作家(未定) ● 提出作品の体裁 ・制作はアナログ・デジタルどちらでも構いません。 ・提出いただく際はPDFデータに変換をお願いします。 ・1ページ目には作者名(ペンネーム可)・作品名を記載してください ● 作品提出締切 7月31日(木)必着 ● ご提出方法 以下メールアドレスにお送りください。 kouzainfo2@asahiculture.com ※PDFデータの添付ファイルにてお送りください。 ※必ず件名に「実践コミックエッセイ」とつけ、お名前、電話番号もご明記ください。 ※このアドレスはご提出専用で、メールは締切日前後のみチェックしているため、 お問い合わせ等は必ずお電話でお願いいたします。 ※複数のクラスでアドレスを共有しておりますので、必ず上記厳守願います。 ● 作品集について 講評作品はPDFデータにまとめ、共有させていただきます。 教室受講:当日教室にて出力したものを配布いたします。 オンライン受講:開講日前日をめどに、作品を掲載いたします。マイページの「ドキュメント」からご覧ください。
詳しく見る江戸時代、出版文化が大きく発展しました。その影響を受けて、怪異もさまざまに展開していきました。今回は、難産で死んだ女性が変化した怪異「ウブメ」を素材にして、書物などのメディアを通じて、どのように展開したのか―具体的には、古典の参照や中国の怪鳥の吸収など―を考えていきます。 ------------------------------------------------------------------------------------------- 「怪異学」はフシギなコトやモノについて歴史や文学・民俗の記録を解読することから、その認識を生み出した社会・文化の特質や日本人の心の軌跡を探る新しい学問です。東アジア恠異(かいい)学会の講師陣が、怪異学の世界へと誘います。 -------------------------------------------------------------------------------------------
詳しく見る学校で習った日本史は好きでしたか。大好きだった人、暗記ばかりで苦手だった人、さまざまだと思います。ところで科学が進歩するのと同様、日本史研究も日々進化しています。そんな新しい日本史研究の世界をのぞいてみませんか。受験や暗記と関係なく、そしてそれぞれの人生経験を経たうえで日本史を学び直してみると、日本史は以前よりも奥深く、きっと面白いものだと感じるはずです。この講座では、原始古代から現代まで流れをたどりながら、最先端の日本史の面白さを伝えていこうと思っています。(講師記) *2025年4月開講 <今期のテーマ> ※テーマは予定です。進み具合により変更となる場合があります。 1 旧石器、縄文、弥生時代の日本 旧石器時代、縄文時代、弥生時代、それぞれの時代の特質を大きくつかまえる。 2 古代国家の成立 古墳時代、飛鳥時代を取り上げ、日本における国家形成の歴史を考える。 3 大化改新とその後 大化の改新の展開と律令制導入の過程を考える。 4 平城京の時代 複雑な動きを示す奈良時代の政治史についてわかりやすく整理する。 5 平安王朝の成立と摂関政治 平安前期の国家と社会、摂関政治の成立と展開について考える。 6 院政の時代 平安後期の政治と社会について考える。 <1年間の予定> ※テーマは予定です。状況により、変更する場合があります。 1 旧石器、縄文、弥生時代の日本 2 古代国家の成立 3 大化改新とその後 4 平城京の時代 5 平安王朝の成立と摂関政治 6 武士の成長と院政の時代 7 「源平の戦い」と鎌倉幕府の成立 8 執権政治とモンゴル襲来 9 南北朝の戦いと室町幕府 10 室町幕府の展開と戦国時代 11 信長・秀吉・家康の時代 12 幕藩体制の展開と改革 13 幕末・明治維新・明治政府の成立 14 自由民権運動と立憲国家の成立 15 明治後期の政治と国際関係 16 大正時代を考える デモクラシーと対外膨張の時代 17 恐慌と昭和の幕開け 18 軍部の台頭と第2次世界大戦 19 戦後改革から高度経済成長へ 20 現代の日本と世界
詳しく見る今年の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の主人公、蔦屋重三郎の生きた時代に、幕府政治をリードした一人である、松平定信を取り上げます。みなさんは、定信に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。本講座では、御三卿の田安家の御曹司が、いかにして老中となり、11代将軍家斉を支え、寛政の改革を行ったのか。史料を読み解きながら、定信が生きた時代と彼をめぐる人々、そして、その実像に迫ります。(講師:記) 第1回 定信はいかにして老中になったのか 第2回 寛政の改革@ ー定信と目付 第3回 寛政の改革A ー定信と長谷川平蔵 画像:絹本着色松平定信像(鎮国守国神社) 【参考図書】 福留真紀著[『徳川将軍の側近たち』](https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166614950)(文藝春秋、2025年)
詳しく見る四季折々に華やかな祝祭空間へと姿を変え、訪れる人々に極上の非日常体験を提供していた江戸の吉原。「紋日」(もんび)と呼ばれる独自の祝祭日は年間100日におよぶこともあり、満開の桜並木が現れる「仲之町の桜」、夏の夜を幻想的に彩る「玉菊燈籠」、芸者衆が芸と奇麗を競う「俄」(にわか)など、季節ごとに趣向を凝らした催しが繰り広げられていました。この講座では、浮世絵や当時の記録を手がかりに、吉原ならではの年中行事や独自のしきたりについて、詳しく解説していきます。(講師:記) 画像:十返舎一九<十返舎一九(1世 1765生)>//著,紫屋歌麿<喜多川歌麿>//筆『青楼絵抄年中行事』上之巻,上総屋忠助,享和4(1804)刊. [国立国会図書館デジタルコレクション](https://dl.ndl.go.jp/pid/1287535)
詳しく見る吉原の本屋から出版界のメインストリート日本橋に店舗を構え本格的に錦絵出版に乗り出した版元蔦屋重三郎は、寛政4,5年(1792、93)頃、喜多川歌麿の美人大首絵をヒットさせました。そして次に挑んだのが、寛政6年の東洲斎写楽による役者絵の出版でした。現代において写楽はなぜ「謎の浮世絵師」と称されるのでしょうか。寛政期(1789-1801)の役者絵出版の様相を背景に、写楽の生没年や経歴、異例に恵まれた役者絵デビュー、そして1年もしないうちに筆を折ったらしいこと…この絵師をめぐる謎をたどりつつ、その実像に迫ってみたいと思います。(講師:記) 東洲斎写楽筆《三代目大谷鬼次の江戸兵衛》大判錦絵 寛政6年 東京国立博物館蔵 出典:[国立博物館所蔵品統合検索システム](https://colbase.nich.go.jp/collection_items/tnm/A-10569-471)
詳しく見る