輪廻転生からの解放を意味する涅槃(nirvāṇa)は、仏教の悟りの究極の境地であると共に、釈尊の肉体的な死を指す概念でもあります。釈尊の入涅槃及び仏舎利への信仰は、仏教美術の発達を大いに促す原動力となりました。 仏陀の「究極の悟りの境地」は、果たしてどう視覚化し得るのでしょうか?また、仏弟子たちにとっては最も言祝ぐべき瞬間であると共に、死を悼む瞬間でもある「涅槃」の瞬間を、古代の仏教徒たちはどのように造形化してきたのでしょうか。 本講座では、古代インド及び中央アジアに見られる涅槃関連の説話を主題とした仏教美術作品を分析しつつ、生と死、祝祭と哀悼、静と動が交差する涅槃の美術の魅力をご紹介いたします。
詳しく見る『源氏物語』には、自然の風物とともに繊細な感情の機微が織り込まれています。移りゆく季節の中に描かれた人々の思いや物語の深層を読み解き、歳時記の視点から『源氏物語』の豊かな情景世界を味わいましょう。(1回ごとの受講も可能です) @7/16 「初音巻の鶯の初音」 初音巻の冒頭には六条院の正月(初春)が描かれています。そのため鶯の初音が待たれているのですが、肝心の初音は聞こえてきません。ここでは明石姫君から実母明石の君への初音信(手紙)こそが主題だったのです。 A8/20 「花散里巻の時鳥の初声」 鶯は春告鳥ですが、時鳥は夏告鳥でもあります。その時鳥と組み合わされているのが花橘でした。ということで花橘の象徴として夏の町に住む花散里が時鳥が組み合わされて描かれています。 B9/17 「紅葉賀巻の青海波」 紅葉賀巻では源氏が青海波を見事に舞って称賛されています。これは二人舞いなので、頭中将が相手でしたが、頭中将は源氏の引き立て役でしかありませんでした。一見はなやかな行事が進行しますが、その裏で藤壺の冷泉帝出産も進行していました。
詳しく見る中国では、長い分裂の時代を経て、589年に隋が南北を統一しました。それまで周辺の諸国は、中国の南北対立の状況を利用した外交を進め、それぞれの生き延びる道を模索していましたが、ひとつの中国と向き合い、対峙する形勢になります。そこから起きる東アジアの大変動について考えます。朝鮮三国の高句麗・百済・新羅は、隋・唐や日本を巻き込んだ形での改編が進み、新羅が半島をなかば領有するようになります。その過程と結果を具体的にみていくシリーズの第6回は、 百済の王都と政治体制についてお話しします。百済は、538年に都を現在の扶余に遷していましたが、7世紀に入ると、益山にも副都を置きます。王都は5部に分け、部ごとに5つの巷(こう)を置きました。巷は中国南朝の建康にみられる制度で、その影響です。地方は5つの方(ほう)に分けて、中央集権の統治体制を取りました。この時期の百済の王都と政治制度について考えます。
詳しく見る前期(2025年4〜6月期)は勧修寺晴豊の日記(『日々記』)から「本能寺の変」の実情とその後の京都の姿を読み解きましたが、今回は晴豊と公私ともに親しく交わり、変後は晴豊とともに朝廷の使者として光秀との交渉の場に臨むなど、晴豊の日記にもたびたび登場した吉田兼見(吉田社神主、公卿)の日記を素材に、「本能寺の変」とその後の京都、公家社会の様相を眺めていきたいと思います。 兼見の日記には家職である神官、神道家としての活動記録が多くみられるのですが、「本能寺の変」がおこった天正10年6月の日記は、神官としての活動記録は皆無で、ほぼすべてが「本能寺の変」とその後の対処にかかる記事で占められます。というのも、兼見は明智光秀との縁が深く、変後の光秀を積極的に支援したこともあって、光秀敗死後は吉田家(吉田社)の存亡にかかわる危機に瀕したことが知られています。6月の日記も二種(二本)伝存し、光秀との関わりなどについては二本で異なる記述も確認できます。晴豊と兼見、それぞれの「本能寺の変」後の姿を、晴豊の日記も適宜参照(復習)しながら読み解いていきます。晴豊の日記の理解もまた、兼見の日記を読むことを通じて深まります。 @7/04 晴豊と兼見 本能寺の変、当日 A7/18 晴豊と兼見 ともに安土で明知光秀に会う、光秀入京 B8/01 晴豊と兼見 山崎合戦、ふたつの日記 C8/29 晴豊と兼見 光秀敗死後の京都で、兼見の窮地 D9/19 晴豊と兼見 兼見、窮地を脱する ★勧修寺晴豊ってどんな人?【動画】⇒ https://youtu.be/a1r9yr9Prlw
詳しく見る古来、人の心をとくに強く動かしてきたのは何であったでしょうか。さまざま な答が考えられると思いますが、まず挙げられるものの一つは、親しい人、愛す る人の死ではないでしょうか。それを通して人は、生のはかなさを強く意識してきたように思います。日本では仏教を受容したときにも、それは純粋な理論としてではなく、むしろ情のレベルで受けとめてきました。「無常」という概念は、「はかない」とか、「切ない」、「哀しい」といった感情と結びつく形で受け容れられてきたのです。そのために人々は心のなかで感じた哀しみをくり返し歌に詠い、文章にしてきました。 本講座では、『万葉集』や鴨長明、吉田兼好、世阿弥の著作、芭蕉の俳句な どを取りあげ、その根底に流れる 「無常」 への思いがどのようなものであったのかを明らかにするとともに、日本思想の特質について考えたいと思います。 以下の参考文献に予めお目通しいただくと、より深くご理解いただけるかと思います。 参考文献:藤田正勝著『日本文化をよむ5つのキーワード』 (岩波新書) 第三章 「長明と兼好の無常」
詳しく見る水の都イタリア・ヴェネツィアを舞台にした『Hotel Casanova』は、ホテル経営の夢を持つ青年ディノと、謎めいた女性カーラの出会いから始まる、ロマンスとサスペンスが融合した物語です。おおむね中学レベルの読みやすい英語で書かれており、初級者にも読みやすく、物語の世界に自然と引き込まれます。講座では、多読を推奨する林剛司さんが、物語をご一緒に楽しみながら語彙や文法を解説します。音読や発音のポイントにも触れ、リスニング力やスピーキングにもつながる内容です。英語の本を一冊読み終えるという体験は、学習への自信と達成感をもたらします。ライブ視聴はもちろん、見逃し配信でも質問が可能。英語で読書を楽しみたい方、夏の旅気分を味わいたい方、何かを始めたい方にぴったりの入門講座です。【初回おためしコースです】 ※リアルタイムで受講される方はQ&Aやチャット欄から質問できます。見逃し配信でご覧になる方は、メール support_kt@asahiculture.com からご質問ください。 ◆全4回コースの詳細・お申し込みは[こちら](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=8084185) 【林剛司先生の講座をちょっと見せ!※以前の講座より】 ◇イギリス英語だと・・・ ⇒ [ちょっと見せ1](https://www.youtube.com/watch?v=NTlO2tFM_5U) ◇ハリーポッターに出てくる・・・ ⇒ [ちょっと見せ2](https://www.youtube.com/watch?v=BraX32cvMe4)
詳しく見る水の都イタリア・ヴェネツィアを舞台にした『Hotel Casanova』は、ホテル経営の夢を持つ青年ディノと、謎めいた女性カーラの出会いから始まる、ロマンスとサスペンスが融合した物語です。おおむね中学レベルの読みやすい英語で書かれており、初級者にも読みやすく、物語の世界に自然と引き込まれます。講座では、多読を推奨する林剛司さんが、物語をご一緒に楽しみながら語彙や文法を解説します。音読や発音のポイントにも触れ、リスニング力やスピーキングにもつながる内容です。英語の本を一冊読み終えるという体験は、学習への自信と達成感をもたらします。ライブ視聴はもちろん、見逃し配信でも質問が可能。英語で読書を楽しみたい方、夏の旅気分を味わいたい方、何かを始めたい方にぴったりの入門講座です。【こちらは全4回コースです。8/6(水), 8/7(木), 8/8(金), 8/9(土)の4日間連続で開講します】 ※リアルタイムで受講される方はQ&Aやチャット欄から質問できます。見逃し配信でご覧になる方は、メール support_kt@asahiculture.com からご質問ください。 ◆初回おためしは[こちら](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=8084184) 【林剛司先生の講座をちょっと見せ!※以前の講座より】 ◇イギリス英語だと・・・ ⇒ [ちょっと見せ1](https://www.youtube.com/watch?v=NTlO2tFM_5U) ◇ハリーポッターに出てくる・・・ ⇒ [ちょっと見せ2](https://www.youtube.com/watch?v=BraX32cvMe4)
詳しく見るバルカン、ウクライナ、パレスチナ、シリア、イラク、リビア――イスラーム教と正教、ユダヤ教、カトリック教を奉ずる異教徒同士が混住するこれらの地域は、いまなお数知れない戦禍に見舞われています。オスマン帝国は、現代人から見ればとても一つの政体が統一できるとは思われないこの広大な世界を、500年にわたり、全体として見れば平和に統治してみせました。本講座ではそんなオスマン帝国の歴史を、13世紀の建国から20世紀の滅亡まで通観いたします。(全6回) 第1期(2回) @5/30 「オスマン侯国の建国と拡大(13-14世紀)」 A6/27 「大征服と「御門の奴隷たち」(15世紀)」 第2期(4回、2025年7月期に開講します) B7/10(木) 「宮廷の拡大と官人帝国への変容(16-17世紀)」※曜日にご注意ください C7/25 「近世オスマン世界の生活と文化(15-18世紀)」 D8/8 「欧化改革の成否(19-20世紀)」 E9/26 「帝国の滅亡、地域世界の解体(20-21世紀)」 ※参考書籍 『オスマン帝国全史 「崇高なる国家」の物語 1299-1922』 (講談社現代新書)
詳しく見る「書物の民」と称されるユダヤの民は、膨大な物語を生み出し継承することを拠り所としてその過酷な歴史を生き延びました。同時に、彼らは、多彩な表象芸術も残しています。物語と芸術が出会うところ、それは、様々な文化と人間のみの出会いの場です。彼らの物語、芸術を辿りながら、多様な文化と宗教の交錯を味わいます。 9月24日 共生のための一神教理解に向けて 今、対立がことさらに強調される風潮があります。中東の政治状況も然りです。しかし長い歴史の中でイスラーム教、ユダヤ教、キリスト教は、対立しつつも、実生活においては多分に共生をしてきました。ユダヤ教を中心に、この今の状況に、歴史が、文献が、芸術が何を示唆してくれているかを総括的に考えたいと思います。
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